相羽秋夫のお笑い食べまくり

上方落語「遊歩」

2017年2月25日

立ち呑みのイメージ一新

遊び心いっぱいの店内でたたずむ得能伸浩オーナーシェフ

 酔って帰って来た男が、布団を取り出して寝ようとすると、押し入れの奥に穴が開いていて宇宙に通じていた。そこから迎えに来た宇宙人と一緒に宇宙船に乗って旅に出る。地球の美しさを満喫して帰還するが、妻が押し入れの梯子(はしご)を取り払っていたので、男は地球に戻れなくなってしまう。桂文珍が“宙吊(づ)り”を導入し宇宙遊泳を表現した奇抜な演出の創作落語「遊歩(ゆうほ)」である。

 “遊び”をテーマに本格的洋食を提供する立ち呑(の)みの店「エフ・ユー」の店名は、“歩(ふ)”のローマ字表記FUを別々に読み分けた、まさに“遊歩”の空間なのだ。カウンターにDJ機器を嵌(は)め込み、客が自由に使用できたり、各人の飲食風景を激写したものを大きなモニター画面に再生して楽しんだり、年間7回ほど店外で行うさまざまなイベントで客同志の交友を温めたりと、立ち呑み処(どころ)のイメージを一新するアイデアに溢(あふ)れている。

 仕掛け人は、店の手伝い、山ちゃんだ。人当たりの良さ抜群の謎(?)の中年男性で、すでに2組の客同士のカップルをゴールインさせた凄(すご)腕である。一方、胃袋を満喫させてくれるのが、フレンチやイタリアンのコックとして30年のキャリアを持つ花嫁募集中の得能(とくのう)伸浩オーナーシェフで、こちらは黙々と鍋を睨(にら)んでいる。

 200円(全て税込み)から950円までのア・ラ・カルトが常時30品ほど用意されている。中でもお目当ては、オムライスを一工夫した「アモライス」(300円)、「シェフのおまかせピッツァ」(600円)、「リブロースステーキ」(950円)などだ。「キリン一番搾り生ビール中ジョッキ」と、「飲み放題樽(たる)ワイン」が、なんと350円の安さに驚く。この気軽さに、6時間も居続けた“FU”ならぬ“UFO”みたいな客がいた。

 (演芸評論家)

お酒と本格洋食の遊びBAR「エフ・ユー」
 大阪市西区新町1の9の12 塚本ビル1階 06(6543)2177 午前11時〜午後2時(持ち帰り日替わり弁当のみ)と、同4時〜同11時半 不定休・予約可