相羽秋夫のお笑い食べまくり

上方落語 「紺田屋」

旬菜・海鮮 「森田屋」
大阪市天王寺区堀越町12の1
電話06(6772)6256
正午〜午後10時半 月曜休
2階席のみ予約可
2017年5月27日

列を成す盛況の居酒屋

のれんに安らぎを感じさせる森田屋の店頭

 京三条の縮緬(ちりめん)問屋「紺田(こんだ)屋」の一人娘が死んだ。悲観した両親が、3百両を添えて埋葬したのに目を付けた番頭が墓を掘り起こすと、娘は仮死状態だったので生き返る。娘は以前から好きだった番頭と結婚し、二人は江戸で同じ名前の店を持つ。娘の死で生きる張りを失った両親は店を閉め、巡礼の旅に出る。江戸で娘夫婦と歓喜の再会を果たす。人情噺(ばなし)風の上方落語「紺田屋」の一席。

 こちらは、一字違いの店、旬菜と海鮮の「森田屋」の物語である。40年前、22歳だった森田東佑店主は歯科技工士だったが、兄の窮状を見かねて大阪市西成区萩ノ茶屋の立ち呑(の)み処を引き継いだ。肝炎で10年近く入退院を繰り返しつつも、雪子夫人の献身的な協力を得て、「安い・おいしい・雰囲気が良い」をモットーに頑張ってきた。その努力が実って、知る人ぞ知る超人気店に成長した。

 5年前、四天王寺参道である天王寺商店街に進出を果たした。森田さんの夢がかなった瞬間だ。うわさを伝え聞いた人たちで、日祝日などは開店前から列を成す盛況で、待ち客にビールをサービスする徹底ぶりである。

 百円(全て税込み)から600円までのメニューを50種ぐらいそろえている。「泳ぎあんこうの造り」(500円)や「さば刺(さ)し」(450円)など季節の珍品や、「本まぐろのすき身(中オチ)」(350円)「牛てっちゃん焼」(400円)「湯豆腐」(200円)の定番にリクエストが多い。「宴会コース」(2千円から)もある。「生ビール中ジョッキ」(390円)、芋焼酎「黒霧島」(350円)など酒類も廉価で、1人2千円で極楽を味わうことができる。

 店を出た客が「うまかったなあ」と会話している後ろ姿に、店主は手を合わせるという。「森田屋」は、客がいつもいっぱいで盛り上がる「盛田屋」である。

(演芸評論家)