相羽秋夫のお笑い食べまくり

東京落語 「宇治大納言」

京都宇治 「花やしき浮舟園」
京都府宇治市宇治塔川20
0774(21)2126
お食事のみ、午前11時半〜午後2時(ランチ)と同5時〜同9時
無休・要予約
2017年6月17日

食事、宿泊に最適

おすすめランチの「あさぎり御膳」

 歌舞伎役者に劣等感を持っている噺(はなし)家は、落語の優位性を誇示するために、二つの芸能の祖を比較する。噺家の先祖は“宇治大納言”といわれている。この人は、平安時代の太政(だじょう)(政務)官で、右大臣に次ぐ高官であった。一方、歌舞伎の祖は出雲(島根県)の職人の娘“お国”で、河原で興行していたと、理由にならぬ理由で噺家を賛美する。東京落語「宇治大納言」。会話部分の全くない落語(地(じ)噺)である。

 大納言の源隆国(みなもとのたかくに)が宇治(京都府)に山荘を建てたので、こう称された。その隆国の愛した宇治に、明治中期に移住したのが、「花やしき浮舟園」の2代目山本宣治さんで、病弱な父の転地療養のためだった。庭一面に花を植えて父を慰めたので、いつしか周(まわ)りの人が“花屋敷”と呼んだ。7年後、宣治さんの父が初代になって茶店を始めた。

 当代の5代目山本卓治社長は、海外生活と京都の一流ホテルマンの経験を生かして、5年前に就任以来、大改革に着手した。和室を洋間に、全館洋式トイレに改造。抜群の眺望の露天風呂を新設するなど、和の情緒の中に洋のテイストを入れた。

 宿泊は1泊2食で2万2千円(全て税別)から。食事は2食とも館内の“お食事処(どころ)”で食べるシステムだ。夏期(7〜9月)には、女性の鵜匠(うしょう)による鵜(う)飼い(別料金)を楽しむことができる。隣接するステーキ割烹(かっぽう)「花やしき」(1万円から)の利用も可能である。

 “お食事処”は、観光客の休憩や各種会合に利用できる。京会席がコンパクトに詰まったランチ「あさぎり御膳」(3500円)がおすすめだ。夜の京料理会席は8千円から1万5千円まで4コースある。夏場の鱧(はも)など季節に応じた食材が出る。鍋料理もある。宇治川の四季の移ろいを感じながらの宿泊と料理の数々。「源氏物語、宇治十帖(じょう)」の後に書き足す新しい“一帖”である。

(演芸評論家)