相羽秋夫のお笑い食べまくり

東京落語「権助魚」

2017年8月26日

夫唱婦随で作る本格ずし

昔ながらのわらでカツオのタタキを焼く天本さん

 旦那に隠し女がいることを感づいた女房は、下男の権助を買収して、旦那の行動を監視させる。ところが、旦那の方が1枚上で、「“網打ちに行き、その後取引先に廻(まわ)った”と報告しろ。魚屋で適当な魚を買い、網打ちの獲物だと言え」と命令する。だが権助は、干物を買って帰ったために、旦那の悪巧みが露見してしまう。東京落語「権助魚」だ。

 四天王寺(大阪市天王寺区)の参道ぞいにある、すしと割鮮(かっせん)(刺し身の意味)の「天山(てんざん)」の名物「松前寿(ず)し」(要予約で1800円から・全て税別)を権助が持って帰ったら、女房の怒りも違っただろう。鯖(さば)と昆布に徹底的にこだわった棒ずしで、年末には正月用に百本以上の注文があるという。堺市の「寿し丸」で父親に仕込まれ、他業種を経験した天本栄作さんが4年前に開店した。自らの姓の1文字と、真理夫人の旧姓山本から店名を付けた。夫唱婦随で作り出す味が大好評で、常連客が増える一方である。

 1貫百円から500円までの「にぎり鮨(ずし)」の中で、「鱚(きす)の昆布じめ」「むしうなぎ」「しゃこのつけ込み」「稚あゆ」「塩水うに」「こはだ」など、珍しいネタが多い。

 昔ながらのタタキの料理法で作る「鰹藁焼(かつおわらやき)」(千円から)、特注のしょうゆで煮込む「あわび柔らか煮」(1500円)、「鱧(はも)すき鍋」(2800円、小鍋1380円、コース4千円)は、「お客さまのことをひたすら考えた料理です」と店主は胸を張る。これらを組み合わせた「おまかせ料理」(3080円から)もある。

 平日の昼は「にぎりランチ」(680円、800円、千円)に人気が集まる。「うなぎちらし」を開発中だ。 季節に応じた日本酒(全て180ミリリットル800円、90ミリリットル400円)を何種類も用意しているのがうれしい。佐賀県の霊峰“天山”に似て、こちらの「天山」も大阪の地で光り輝いている。

(演芸評論家)
四天王寺 すし割鮮「天山」
大阪市天王寺区大道1の13の18
06(6777)4839
午前11時半〜午後2時(平日のみランチ)と同5時〜同10時
木曜休・予約可