相羽秋夫のお笑い食べまくり

上方落語 「箒屋娘」

2017年12月23日

80年超えた元祖洋食店

1935年創業以来の名物「玉子コロッケ」

 住吉大社門前の茶店で、船場の商家の若旦那が休んでいると、境内で箒(ほうき)を売っている娘を見つける。武士の父親が病気のため、彼女が家計を支えているという。若旦那は箒を全部買い上げ、何倍もの代金を払う。これが縁で二人は結婚し、いつまでも仲良く暮らす。上方落語「箒屋娘」だ。

 1935(昭和10)年1月1日、住吉大社門前で、当時珍しい洋食の店「やろく」を開店したのが、多田善松(ぜんまつ)さんだ。帝国海軍総料理長を務めた名シェフで、奉仕の意味を持つ“弥”と、占いにより縁起のいい数字とされた“六”を合わせたのが店名の言われである。息子の善一(よしかず)さん、孫の喜景(よしかげ)さんへと伝えられ、今日の威容が整った。そして喜景さんは現役のまま、7年前に吉孝(よしたか)さんに4代目を委嘱し、直系の味のリレーが完成した。

 吉孝さんはフランスでフレンチを本格的に学び、東京の一流店で修業して生家に凱旋(がいせん)した。まだ29歳の若きシェフだ。初代からのメニューを守りつつ、自ら開発したものも含めて、アラカルトは30品(1000〜2800円、全て税込み)近くある。

 なんといっても、創業以来82年の歴史が詰まる「玉子(たまご)コロッケ」(918円)が一押しだ。自家製デミグラスソースが自慢の「ビーフカツ」(1269円)、「カキフライ」(1080円)、4代目考案の「かぼちゃポタージュ」(540円)など、ぜひ賞味されたい。玉子コロッケ・エビフライ・カキフライの「限定セット」(1782円)や、玉子コロッケ・ビーフカツの「やろく盛合せ」(1836円)も魅力だ。

 ランチ(864〜1944円)が充実しており、玉子コロッケ・ライス・みそ汁の「やろく定食」(1242円)に人気が集中する。

 初代考案のコロッケ、2代目の集めた狸(たぬき)の置物、3代目厳選のオーディオから流れるジャズ。4代目の斬新なレシピ。多田家の“家録(やろく)”が店にあふれている。

(演芸評論家)
洋食「やろく本店」
大阪市住吉区東粉浜3の30の16
06(6671)5080
テイクアウト店は局番同じで8691 午前11時半〜午後1時半、同4時半〜同8時(第4火曜は昼のみ)
水曜休 予約可