相羽秋夫のお笑い食べまくり

上方落語 「桜ん坊」

2018年2月17日

仁和寺前で桜にこだわり

ケーキにアイスを乗せた人気メニュー「おむろ桜」

 間違えて桜ん坊(さくらんぼ)の種を呑(の)み込んでしまった男の頭に、桜の木が生えた。春になると人が集まり花見をするので、喧(やかま)しくて眠れない。そこで、この木を抜くと、今度は雨水がたまって池ができる。また人がやって来て、舟遊びをして騒ぐ。男はノイローゼになり、その池に身を投げる。シュールな物語の、故桂枝雀が得意とした「桜ん坊」である。

 洛西にある仁和(にんな)寺の寺侍で、御室(おむろ)の桜を守り続けた初代から、数えて8代目の桜守(さくらもり)の安田圭吾さん。中学生の頃から、造園の技を父に仕込まれた名人だ。その安田さんが、仁和寺の参拝客に憩いの場を提供しようと、1989(平成元)年に、甘味処(かんみどころ)「いっぷく茶屋」を、同寺の門前に開店した。

 甘味のメニューは、全て桜にこだわった名前だ。まず「桜シフォンケーキ」と、珈琲(コーヒー)・紅茶・抹茶の中から1品選ぶセットが950円(全て税込み)である。「御衣黄(ぎょいこう)」は、黄色の桜の種類名から採った、黄色のケーキだ。桜の香りと味のエキスが入った桜ケーキに桜アイスを乗せた「おむろ桜」が最も人気がある。アイスが溶け出すのを待って食べると、ケーキに染みた味が何ともいえぬ味のハーモニーを醸し出し出す。「ちょこ抹茶」というケーキも含めて、この3品は700円である。「桜アイス」のみは500円。桜と抹茶の二つの味が評判の特製「桜だんご」は300円。さらに、三枝子夫人が、心を込めて作る「甘酒」や「抹茶」、それに飲み物類は全て500円である。

 安田さんは、ドラムやギターを弾くミュージシャンの顔もある。親族で二つのバンドを編成している。時々、店でコンサートを開く。市内の中学校で、造園の話を伝える教育アドバイザーでもある。桜だけでなく、人間の枝ぶりにも目を配る安田さんには、“いっぷく”している暇はない。

(演芸評論家)
甘味処「いっぷく茶屋」
京都市右京区御室小松野町28の1
075(463)8296
午前9時〜午後5時 木曜休