きらめきびと

温かみ伝えていく

和文化を広める「器プロジェクト」を主宰する設計士
内田利恵子さん
2017年2月22日

 住宅や店舗の設計を手掛ける一方、畳や表具をはじめとする和文化の温かみを後世に受け継ごうと、職人仲間らとともにグループを立ち上げた。活動のシンボルは持ち運びが可能な3畳一間で、日本人だけでなく、訪日外国人にも人気だ。背景には「素材の良さを知ってほしい」という切実な願いがある。

 昨年、開設から20年を迎えた「建築設計室・Morizo−」(中央区安堂寺町)の代表を務める。20代の1年間、建築を学ぶためドイツやフランス、北欧など欧州10カ国以上を放浪した。特に8カ月住んだスペインでは、現代建築の「直線の複雑さ」に影響を受けた。半面で、和文化の秀逸さを見つめ直した経験が設計士としての土台となった。

 そして2015年、5人の職人とともに立ち上げたのが「器プロジェクト」。ふすま、畳など素材には越前和紙や熊本・八代産のい草、吉野桧を用い、「職人の技術が詰まっている。どれを取ってもいとおしい」と胸を張る3畳一間の“器”。これまで巡回展を企画し、今年1月には大阪市内の百貨店で雅楽や書道とのコラボレーションも成功させた。

 「止め石一つで『入ってはいけない』と感じるのは日本人のDNA。次の世代に伝えられる素地はまだある」。心を落ち着けたり、客人をもてなす空間の大切さを説き、「『便利できれい』だけが正解じゃないと発信したい」と意欲を燃やす。