来阪catch

男の存在と交わる

「雪 女」
監督・主演 杉野 希妃
2017年4月2日

時代を超えた神秘性

「雪女を演じて初めて分かったこともあった」と話す杉野希妃=大阪駅西口バスロータリー
「雪女」の杉野希妃=(C)Snow Woman Film Partners

 女優で監督の杉野希妃がかねて切望していた小泉八雲原作を映画化した「雪女」(和エンタテインメント配給)がシネ・リーブル梅田とシネ・ヌーヴォで上映されている。「謎の雪女が男の存在と交わる。その時代を超えた神秘性を描きたかった」という杉野に話を聞いた。

 数年前から映画化を臨んで準備を重ねていたが、2015年1月の撮影直前にオランダで交通事故に遭って製作が延期になった。「入院中は少し焦ったが、これも天の計らいともう一度、脚本の推敲(すいこう)の時間にあてた。それでなぜ雪女をやりたかったかがより鮮明になった」

 原作は、雪女がある村に現れて、そこの男と夫婦になって、子どもをもうけるが、またそっと村を去って行くという伝説を怪奇文学に昇華させた作品。「なぜ雪女は雪景色の向こうに現れ、人間と交わろうとするのか。男との間にできた子どもの魂は、ひょっとしたら私の中に生きているのではないか。それが知りたかった」

 雪女と村娘のユキの二役も杉野が務めた。彼女の夫の巳之吉に青木宗高が扮(ふん)し、佐野史郎、山口まゆ、宮崎美子、水野久美らが共演している。「自分が雪女になって、それがどう動くのか、もう一人の雪女である監督の私が確認する。その作業をやりたくて監督・主演の形をとった。共演の皆さんがそれぞれ身をささげて取り組んでくださって、完成にこぎ着けられた」

 撮影はスムーズにいったという。「雪女が出るシーンはカラーではなく白黒映像にして神秘性を出し、いい感じに仕上がった。現場では監督のもう一人の私がしきりに『ダメ出し』をしていた印象もある。雪女は人間になろうとして、なれなかったとしても、何かを達成したから、最後に巳之吉から去っていったのではないか…」

 雪女の「心の中身」を突き止めたいというのが監督としてのテーマだった。巳之吉と出会って、温泉の場で彼女は彼に身を任せるシーンがある。「温泉の温かみに、彼女が人間になりたいと思う気持ちを重ねたかった。巳之吉の存在を味わうことが、雪女のロマンかもしれない」

 繊細な男と女のシーンは、リハーサルやテスト時もカメラを回した。雪女の魂がどこにあるのか。彼女はなぜ巳之吉と子どもを残して去って行ったのか。「その魂はまだ2人のところにあるのだろうか。見る人に押しつけないように描かなければならなかった」

 映画監督としては「マンガ肉と僕」「欲動」に続いて3作目。「3本目までは新人と言われるが、これでようやく一人前になれたような気がする。やりたかった作品を映画化できた。演技者としても、常に『素裸』を貫けたし、後悔はない」

 女優としても日仏合作映画「海の底からモナムール」とブルガリア映画「ユキとの写真(仮題)」に出演し公開待機している。広島県出身、33歳。