来阪catch

不倫されど純愛?

映画「昼顔」
監督 西谷 弘
2017年6月4日

女たち本音の世界

「決着をつけたいと思って映画版に取り組んだ」と話す西谷弘監督=大阪市内のホテル
上戸彩(右)と斎藤工(C)2017フジテレビジョン 東宝 FNS27社

 2014年夏に放送されたドラマを映画化した「昼顔」(東宝配給)が10日から、大阪ステーションシティシネマほかで公開される。ドラマのメインディレクターを務めた西谷弘監督(54)が再びメガホンを取り「不倫されど純愛?」というテーマを「女たちの本音の世界で決着を」という注目作である。

 ドラマは「昼顔〜平日午後3時の恋人たち〜」というタイトルで全11話が放送された。子どもがおらず近所のスーパーでパートをしている普通の奥さんが、たまたま出会った高校の生物教師と道ならぬ恋をする物語。彼にも妻がおり「W不倫」であり、主演の木下紗和(上戸彩)と北野裕一郎(斎藤工)が茶の間を大いにハラハラさせた。

 「結局、ドラマでは決着がつかなかった。『これ以上進むと後戻りできなくなる』という裕一郎、そして『振り向いたらそこは地獄です』と紗和がいう。紗和は夫と離婚させられ、海辺の町に引っ越し、裕一郎は紗和に近付かない約束で妻の乃里子(伊藤歩)と一緒に生活をやり直すことに。映画はそれから3年後で、続きというより、もう一度会って、決着をつけさせたいと思った」

 西谷監督は福山雅治主演の「容疑者Xの献身」(2008年)や草※剛主演の「任侠ヘルパー」(13年)などドラマから映画という経緯を経験している。「どちらかというと男性が主演の作品が多かったが、今度は多分に女性たちのドラマ。最初、アイドル・上戸さんの不倫ということで周囲の抵抗もあった。相手役の斎藤さんも素朴でカッコよくそれを受けてくれて、2人が茶の間の人気を集め、今回につながった」

 ドラマの後、現実の不倫がマスコミをにぎわした。「現象的に多分のバッシングを受けたこともあって、すぐに続編、あるいは映画化は考えにくかった」というが、清純派の上戸と清潔派の斎藤の不倫コンビ復活で「スペシャル版」か「映画版」の製作をという声につながり、後者が実現した。

 ドラマで同じように不倫ドラマを演じた吉瀬美智子・北村一輝や、紗和の夫の鈴木浩介や義母の高畑淳子らは登場しない。「映画は2人のその後で独立させたかったし、その結末を見たかった。2人が再会し燃えるのと同時に裏にあることは、それをどう終わらせるか。贖罪(しょくざい)と同時に、奪われる側の痛みを、2人がどう受け止めるか。紗和と乃里子の女同士の本音の闘いを描こうと思った」

 脚本はドラマに引き継ぎ井上由美子が担当した。「そこには女性でないと書けないセリフがいっぱい詰まっていて、男の僕はどうしようかと思うほどだったが、それがあるから映画でドラマが決着する。あるいは辛いラストでもハッピーエンドになるような気がした。上戸さんと斎藤さんが熱演し、伊藤さんがそれにぶつかってくれた。不倫されど純愛のテーマは、やっぱり深いと思う」

 ※は弓に剪