来阪catch

「主人公は自分自身」

映画「メアリと魔女の花」
監督 米林宏昌
2017年7月9日

ジブリ体験を生かす

「転んで立ち上がり、勇気が出るように…」と話す米林宏昌監督=大阪市北区のTOHOマーケティング
(C)2017「メアリと魔法の花」製作委員会

 スタジオジブリに20年所属した米林宏昌監督(43)が退社後初めて手がけた3本目のアニメ映画「メアリと魔女の花」(スタジオポノック制作、東宝配給)が大阪ステーションシティシネマほかで上映されている。「ジブリ体験を生かして、自分の足で立った。少女メアリは自分自身でもある」という米林監督に話を聞いた。

 石川県生まれで地元の美術大学に通いながらアルバイトで似顔絵やアニメーションを手がけた経験を生かして1996年にスタジオジブリに入社。宮崎駿監督の「もののけ姫」、高畑勲監督の「ホーホケキョ となりの山田くん」からいろんな作品にスタッフとして付いた。

 「ジブリの制作部門解散で退社し、その後映画が作れるだろうかと不安だったが、ジブリの仲間だったプロデューサーの西村義明(39)と一緒に次作探しをして今回の作品の原作にめぐり合った。魔女の話というので、宮崎さんの『魔女の宅急便』(89年)が頭をよぎったが、こちらは普通の少女が一日だけ魔法を使えるようになる話で宮崎さんの少女キキとは違うし、メアリの成長物語になると思った」

 米林監督はジブリで「借りぐらしのアリエッティ」(2010年)と「思い出のマーニー」(14年)を発表。「スタジオに宮崎さんがおられたので、いろいろ忠告を受けながら作った記憶がある。今度はその宮崎さんや高畑さんはいないし、そのときはうるさいと思ったこともあるが、その声がないと寂しかった。作ることが決まった時に宮崎さんから『よかった。うれしいよ』と言っていただいた言葉がとてもエネルギーになった」

 新作はイギリスのメアリー・スチュアートが書いた児童文学が原作で、赤い館村に引っ越した少女メアリ(声・杉咲花)が、森で7年に一度しか咲かない不思議な「夜間飛行」という花を見つける。それが魔女の国から盗み出されたものと分かり、それによって一夜限り不思議な力(魔法)を手に入れてほうきに乗って魔法世界に飛び込み体験する冒険物語。

 「杉咲さんは『思い出のマーニー』に次いでの仕事で、コンプレックスをいっぱい持ったメアリの性格を実にうまく演じてもらった。『ウヒヒヒ…』と笑うのがとてもかわいく、『やった!』と思った。魔女学校校長役の天海祐希さんは絵の感じと違うのだけど表と裏の声を使って見事。少年ピーターの神木隆之介さんと、声優は初めてで魔法科学者をやってくださった小日向文世さんもいい感じで、謎の魔女の満島ひかりさんとメアリの祖母の大竹しのぶさんに話を包み込んでいただいた」

 脚本6カ月、絵コンテ6カ月、そして制作1年半を要した。「元ジブリのスタッフと新しいスタッフが一つのチームを作って作品に取り組んだ。僕の好きなアクションシーンを多く取り入れたが、それぞれスタッフが個性を発揮してくれて、助けていただいた。メアリが転んで立ちあがるシーンは自分自身に重ねながら作っていたような気がする