来阪catch

「流れと逆しまに走る」

映画「関ケ原」
監督 原田 眞人
2017年8月20日

思い 三成60%、家康40%

「ブレない三成の生き方に思いを重ねた」と話す原田眞人監督=大阪市北区のアプローズタワー

 司馬遼太郎の同名原作を映画化した時代劇「関ケ原」(東宝、アスミック・エース配給)が26日から大阪ステーションシティシネマほかで公開される。戦国時代にあって「流れと逆しまに走る」という主人公・石田三成の生き方に思いが重なったという原田眞人監督(68)に話を聞いた。

 1974年に発表された司馬の長編歴史小説は戦国時代の天下分け目の決戦を描いたもので、その後「司馬史観」といわれる諸作と共に人気を集めた。「テレビドラマ化されたことはあるが映画化は今回が初めて。歴史上最も有名な戦いを映画にしなかったのは不思議ではあるが、僕自身も25年前からやりたいと熱望していて、ようやく実現した」

 登場人物が多く、製作費の問題など条件的リスクも少なくなかった。「僕が物語で最初に思ったのは三成の家来になる島左近(平岳大)で、第1主役の三成(岡田准一)、第2主役の徳川家康(役所広司)ではなかった。そして西軍・三成を裏切った小早川秀秋(東出昌大)も主人公として面白いと考えを巡らせた経緯もある」

 そしてこのほど「関ケ原」を映画でやらないかという具体的なオファーがあった。「結局たどりついたのは司馬さんの石田三成だった。原作が長いのでどこを落とすかなど悩みもあったが、秀吉が作った天下は利害で固まった秩序。三成は師である秀吉に悪の部分を見いだし、自分は『正義か不正義か』で兵をあげる。三成のブレない男の魅力が大きかった」

 三成はこれまでいろんな人物像で描かれているが「主役の司馬原作ではとてもいい人物」と評す。「真っすぐだから逆に敵も多く、うまくいかないことも少なくない。その辺で左近が三成のことを『天下ことごとく利に走るとき、ひとり逆しまに走るのは男として面白い』という。僕もそこがいいと思った」

 “正義”を掲げる三成。「どこか危ういところもあって、例えばたぬきおやじと言われる家康と比べると頼りないところもある。一方で乗馬アスリートのような敏しょうな男でもある。僕の個人的な思いは三成に60%で、家康40%というところだった」

 三成を岡田が演じることで「映画が成立する」と確信する。「もう一人、気になる若い秀秋は東出くんが司馬原作を読み込んで内面から演じてくれた。結果は裏切りだったが、それだけではなかったことを描きたかった。三成が敗れて、最後の2人の『対面』はそのためのシーンになった。女忍者の初芽(有村架純)も三成の立場を理解した人で、彼の救いになった。岡田・有村の『目力』を見てほしい」

 家康の役所は原田映画の常連で「日本のいちばん長い日」(2015年)の阿南将校役は印象深い。「今回の役所さんには化けてもらった。関ケ原で勝ったのは家康で、徳川300年の礎を作ったが、果たしてそれでよかったか。家康の『腹芸』がある意味、その後の日本人観を作ったところがある」