来阪catch

自身で解決するパワー描く

映画「わたしたち」 
監督 ユン・ガウン
2017年10月7日

等身大の子どもの日常

「子どもたちが自身で問題に挑む姿を…」と話すユン・ガウン監督=大阪市北区のシネ・リーブル梅田
「わたしたち」の一場面=(C)2015 CJ E&M CORPORATION.And ATO Co.,Ltd.ALL RIGHTS

 ユン監督は大学で歴史と宗教学を専攻し、ソウル総合芸術学校映像院で映画を学んだ。「現代を生きる子どもたちの悩みに寄り添った問題を等身大で表現したい」と3本の映画を撮り各種映画賞を受賞した実績がある。そんな彼女が韓国を代表するイ・チャンドン監督の企画に参加して今作のメガホンを取った。

 イ監督といえば「オアシス」「シークレット・サンシャシン」などの名作で知られているほか、女性監督のウニー・ルコントの「冬の小鳥」のプロデューサーも手がけた国民的映画人で、国の文化観光長官を務めたこともある。「今回はイ監督と脚本作りから一緒になり、それまでの脚本にダメ出しが出て、何度も書き直してスタートした」

 イ監督の指導は厳しいもので常に「それは真実の中の、本当の話か」という問い詰めがあった。「結局自分の少女時代のことを書いた。それが本物であるという確認をしながら、ドラマとしてどう盛り上げてリアルで面白い作品にするか。小学校高学年のいじめられっ子のソン(チェ・スイン)と、転校生のジア(ソル・ヘイン)を主人公にして、2人が困難にぶつかり、どうやってそれを乗り越えていくかを見つめた」

 撮影前の3カ月、カメラなしのリハーサルをやったという。「子どもには脚本を渡さず、口伝えでセリフを言い、その場の説明をした。日本の是枝裕和監督が『誰も知らない』で主役の子(柳楽優弥)にした手法を使わせてもらった。ソンに弟のユン(カン・ミンジュン)がいて、それがとてもかわいく、是枝監督の『そして父になる』の慶多(二宮慶太)君みたいになった」

 クラスの中でいじめられっ子のソンは、それを受け入れながらもどこかで必死に仲間を探している。彼女は転校生でクラスに入って来たジアに近づきすぐに仲良くなるが、クラスのリーダーを務めるボラ(イ・ソヨン)によってジアは「いい子」グループに付く。「ソンの家は貧乏で、ジアの家は金持ち。しかし、ソンには両親がいて、ジアには母親がいない。クラスカーストはそのせいで決まっており、子どもたちの世界は厳しい」

 映画は決して陰湿ではない。ソンはジアと仲良くなることを諦めないし、ジアも本当はソンと仲良くしたいと思っている。ソンは弟のユンが友達とケンカばかりしていて「もう彼と遊ぶな」と怒るが、ユンは「殴られたら殴り返す。だから遊びたい」と姉に抵抗する。「ユンの子どもの理屈が面白いし、子どもには困難を克服するパワーがある。そんな子どもの強さを、リアルな日常の中に見つけてください」