来阪catch

プロレス世代の脱線物語

映画「リングサイド・ストーリー」
監督 武 正晴
2017年10月14日

映画「百円の恋」の3年後

「今度は格闘技の周辺の人間ドラマです」と話す武正晴監督=大阪市内のホテル
瑛太(右)と佐藤江梨子=(C)2017 Ringside Partners

 女性がボクサーに挑戦するスポーツ恋愛映画「百円の恋」(2014年)の武正晴監督(50)の新作「リングサイド・ストーリー」(彩プロ配給)が14日から大阪ステーションシティシネマで公開される。瑛太と佐藤江梨子が主演した「プロレス世代の脱線ラブ・コメディー」という武監督に話を聞いた。

 「百円の恋」は都会の片隅にあるボクシングジムに通っている貧乏男(新井浩文)と、家にこもり気味の下町娘(安藤サクラ)の切ない恋を描き、日本アカデミー賞作品賞など多くの映画賞を独占。「あれから3年。今度はあの脚本を書いた足立紳の自伝的ストーリーで、プロレス世代のラブ・コメディーに挑戦した」

 鳥取県出身の足立は脚本で売れないころ、妻があるプロレス団体に勤めていたという。「その時の話をよく聞いていて、映画の企画を探していたプロデューサーの李鳳宇さんにそれを話すと、プロレスの周囲にいる人の話をコメディーでやろうと。足立が監督作(「14の夜」)に入っていたので、脚本は李さんと横幕智裕さんに書いてもらった」

 主人公は売れない俳優のヒデオ(瑛太)と、10年間アパートに同居している恋人のカナコ(佐藤江梨子)。「早い話、彼は女に食わせてもらっている。おまけに格闘技好きの彼は彼女をプロレス団体に勤めさせ、ただの入場券をもらってリングサイドに通うという結構な身分。これは足立が実生活でやっていたことで、小説『乳房と蚊』に書いている。それは夫婦の話だが、こちらは腐れ縁の恋人同士。プロレス世代の脱線ラブコメディーにしたかった」

 瑛太は二枚目の仕事も多いが近年、三枚目も少なくない。「ルックスはカッコいいのにどこか抜けている。それがおかしい。一方のサトエリさんはすごく母性愛を感じさせる女優さん。そんな2人がぶつかりすれ違うが、その隙間には長年付き合った男女ならではの愛情が見え隠れする。モデルの足立は『いいなあ。ワクワクします』と喜んでいた」

 カナコはプロレスラーの世話をするマネジャー的な仕事をしているが、ヒデオは彼女が若いレスラーと仲良くするのが気に入らない。ついには嫉妬して会場が大混乱するが、そのケリをつけるために何とヒデオ本人がリングに上がることになり、その相手はK−1の武尊に決まる。

 「前作『百円の恋』は、女性がリングに上がる話だったが、今度は愛する女のために男がそこに上がるハメになる。余貴美子さん、高橋和也さんら俳優と、映画初出演の武尊さんと、武藤敬司さん、黒潮“イケメン”二郎さんら格闘技の選手が一緒になって映画をもり立ててもらっている」

 武監督は山本太郎が主演したゲイムービー「EDEN」、唐沢寿明主演のスーツアクターの泣き笑い「イン・ザ・ヒーロー」など崖っぷちの人間模様を描いた作品が多い。次回作はすでに撮影済みの佐々木蔵之介・中井貴一主演で大阪・堺でロケした「?八百」。