来阪catch

俳優の好演でより深く

三浦しをん原作の「光」を映画化
監督 大森 立嗣
2017年11月25日

闇の部分を探りたい

「原作にないラストを探しながら撮った」と話す大森立嗣監督=大阪市内のホテル
「光」の井浦新(左)と瑛太=(C)三浦しをん/集英社(C)2017「光」製作委員会

 大森立嗣監督(47)が直木賞作家の三浦しをん(41)と3度目のコンビを組んだ「光」(ファントム・フィルム配給)が25日からシネ・リーブル梅田、シネマート心斎橋で公開される。「闇の部分をもっと見たい。井浦新と瑛太の共演でより深く…」という大森監督に話を聞いた。

 大森監督は大駱駝艦の俳優、麿赤児の長男で、弟は大森南朋の芸能一家。しかし本人は大学時代から8ミリ映画などを作り製作現場志向があった。荒戸源次郎監督(故人)の「赤目四十八瀧心中未遂」などで助監督を務め、花村萬月原作を映画化した「ゲルマニウムの夜」(2005年)で監督デビュー。

 「今回の映画で監督は8本目になるが、今までで一番難しく、深い映画になった」。三浦原作は「まほろ駅前多田便利軒」(11年)「まほろ駅前狂騒曲」(14年)を撮ってクリーンヒットさせた。「1本目がいい仕上がりで2本目はちょっと無理したところがあった。2本目の方が興行的に当たったのはラッキーだった」

 「光」は小説を読んで「同じ原作者が書いたのかと驚き、作家の裏というか、闇の部分を探ってみたい」と思い、三浦に映画化希望を伝え快諾を得た。「映画化の話は前からあったようだが、僕のために残しておいてもらったような気持ちでうれしかった」

 東京近郊の離島で兄弟のように育った信之と輔が、幼なじみの美喜をめぐってある事件に遭遇。信之がある男を殺し、輔がその現場の写真を撮っている。事件は明るみに出ることはないが、25年たって都会の闇で暮らす3人の生活があぶり出されていく。「信之は美喜が好きで、彼女のために殺人を犯した。彼を兄のように慕う輔にはどこかジェラシーがある。それが都会の中でどう絡み合うか。井浦君と瑛太君が現場でより深くぶつかった」

 25年ぶりに再会する信之(井浦新)と輔(瑛太)。信之には妻の南海子(橋本マナミ)がいるが、輔は南海子を誘惑し関係を持って、事が妖しくミステリーふうに展開していく。そこに信之が島で憧れていた美喜(長谷川京子)が美しい大人の姿で現れる。「男2人の懐かしい思い出と確執。女2人のそれぞれの過去と今の境遇などが明るみに出る。男と女の闇をダークに壊していきたいと思った」

 これまでは「映画を撮りながら路地を抜け出せない感覚があった」という。しかし今回は違った。「少し飛び出そうと思った。原作者もほめてくれたのでうまくいったのかなと思う。何より俳優がうまく演じてくれた。橋本君は僕のワークショップで会っていたが、よく大胆な芝居にチャレンジしてくれた」