来阪catch

理屈が違う男女を面白く

映画「伊藤くんAtoE」
監督 廣木 隆一
2018年1月13日

それぞれの立場で考えて

「こんな人いるなと思ってもらえたら…」と話す廣木隆一監督=大阪市内のホテル
木村文乃(左)と岡田将生=(C)「伊藤くんAtoE」製作委員会

 柚木麻子の同名小説を映画化した「伊藤くんAtoE」(ショウゲート配給)が大阪のTOHOシネマズ梅田・同なんばで上映されている。岡田将生、木村文乃がW主演した恋愛ミステリーで「理屈が違う男女を面白く描いた。それぞれの立場で考えてほしい」という廣木隆一監督(63)に話を聞いた。

 直木賞にノミネートされた柚木の原作はテレビの深夜枠でドラマ化され人気を呼んだ。その1、2話を担当した廣木監督が映画版のメガホンを取った。「ドラマはシナリオライターの女性主人公・矢崎莉桜(木村)が、シナリオスクールで教える女生徒たちの相談に乗ってそれをネタにするという話。女たちの相手が同じ男・伊藤誠二郎(岡田)というのがミソで、映画はそれを最初から出して、ほかの4人の女性たちの恋愛模様と重ねた」

 20代のときに「東京ドールハウス」というヒットドラマシリーズを書いた莉桜は、アラサーになった今は落ち目で仕事にあぶれている。シナリオスクールで相談相手になった女性たちの告白を聞きながらそれを自作のネタにと焦っている。「莉桜は4人の女性たちの相手が誰だか知らないが、彼女たちをあおって恋愛をおかしな方向に誘うのが面白い。文乃さんがリアルに“毒女”を演じてくれた」

 4人の女は「都合の良い女」に佐々木希、「自己防衛型女」に志田未来、「愛されたい女」に池田エライザ、そして「ヘビー級処女」に夏帆が扮(ふん)している。「それぞれ『そんな女いるよな』という感じで演じてもらった。女性観客は自分がどのタイプかを考えて見てもらうと面白いかもしれない」

 4人の女性たちの恋愛相手が伊藤くん(岡田)で、彼はそれぞれの女性たちを相手にしているプレイボーイで、超モンスター級の“痛男”である。「これはみんなに嫌われる役だが、これを岡田君が演じてくれて、少し愛すべきキャラクターになっている。4人の女性たちとの葛藤が見どころで、最後は莉桜との対決シーンにつながる」

 莉桜はテレビ局のプロデューサー(田中圭)と関係があるが、彼が別の女と結婚することになり立場がピンチになる。「そこで自作シナリオのため、4人の女性の話を突き詰めると、伊藤くんの名前が浮かび上がる。そこからはまさかという話になって、彼女は伊藤くんと直接対決に臨むことになる。そこで語る伊藤くんの話がこの映画のセールスポイントになる」

 「結局、原作は男と女の考え方の違いが面白く書かれているので、その辺をスリリングに描きながら、どちらが勝つかという話になる。伊藤くんは俳優でいえば昔の勝新太郎さんに似て、モテモテ男で自信家。岡田君と文乃さんが悩みながら考えて役を演じてくれて面白くなっている」

 福島県出身。次回作として少女まんがを映画化した「ママレード・ボーイ」(4月公開)を撮りあげている。