来阪catch

親が子を思う気持ち

映画「祈りの幕が下りる時」
監督 福澤 克雄
2018年1月27日

見せ場をテンポ良く

「映画はテンポで押してどこまで見せるかが勝負」と話す福澤克雄監督=大阪市北区のアプローズタワービル
阿部寛(右)と松嶋菜々子=(C)2018映画「祈りの幕が下りる時」製作委員会

 「半沢直樹」「陸王」などのヒットドラマを手がけた福澤克雄監督(54)が、東野圭吾の人気シリーズ最終章を映画化した「祈りの幕が下りる時」(東宝配給)が27日から、大阪ステーションシティシネマほかで公開される。最終章でシリーズ初登板。「親が子を思う気持ちの見せ場を、テンポ良く撮った」と話す福澤監督に話を聞いた。

 堺雅人主演の「半沢直樹」や役所広司主演の「陸王」といったTBS系の人気ドラマを担当し、ドラマの仕掛け人として注目を集めた同局敏腕ディレクター。福澤諭吉のやしゃごにあたり、元慶応大のラガーマンとしても知られるエリートだ。

 一方、映画監督としてデビュー作になる中居正広主演の「私は貝になりたい」(2008年)があり、今回久々2本目の作品となる。「テレビの連続ドラマは忙しくて考える時間があまりないので大変だが、映画は時間をかけて撮影できるのがいい。阿部寛さんの刑事・加賀恭一郎シリーズに初参加して、最終章というのも不思議な縁になった」

 阿部とはドラマ「下町ロケット」で初めて組んだ。「その時の呼吸もあって、僕の登板になったようだ。僕は加賀恭一郎シリーズはドラマや映画に一度も関わっていないので、それらを見直して勉強した。加賀の人情味がとてもいいが、阿部さんの個性的なおちゃめな部分もいいなと思った。特に最終章は彼自身が殺人事件の核心に関わっているので、原点に返ってやってみようと思った」

 東野原作は10本あり、10年に連続ドラマ「新参者」としてスタート。高視聴率を上げたことで以降翌年の新春特別企画「赤い指『新参者』加賀恭一郎再び」と続き、12年には映画版「麒麟の翼〜劇場版・新参者〜」が登場した。14年の新春ドラマ「“新参者”加賀恭一郎 眠りの森」に続くのが今回の映画版第2作で、原作の最終章である。

 「阿部さんが最終章ということで力が入っており、手が抜けなかった。加賀自身がミステリーの鍵になる話なので、主人公の人間味あふれる魅力を出そうと思った」。加賀に絡む松嶋菜々子、小日向文世ら俳優陣と丁々発止の芝居が見どころで、シリーズ常連の溝端淳平、田中麗奈らが周囲を盛り上げている。

 映画「私は貝になりたい」で、多くの黒澤明映画で知られる名脚本家、橋本忍と一緒に仕事をして「ドラマをどう面白く見せるか」について特訓を受けた。その第1が「スピード感とテンポの良さ」で、「それを頭に置きながら、特に見せ場においてたたきこむような押しの演出にこだわった」。

 映画のテーマは人の優しさで「親が子を思う強い気持ちを伝えたかった」。大きな身体を揺すって訴えた。