来阪catch

成り行きは4人に任せて

映画「犬猿 Kenen」
監督 ※田 恵輔
2018年2月10日

兄弟、姉妹葛藤する人間喜劇

「男と女の感情の違いを描いたヒューマン喜劇」と話す※田恵輔監督=大阪市西区の新通ビル
左から窪田正孝、新井浩文、筧美和子、江上敬子=(C)2018「犬猿」製作委員会

 自主映画から出発しプロの照明マンを経て監督になった※田恵輔監督(42)の新作「犬猿 Kenen」(東京テアトル配給)が10日から大阪のテアトル梅田で公開される。「兄弟と姉妹の葛藤劇で、主演4人の俳優に成り行きを託した」という※田監督に話を聞いた。

 自主映画のデビュー作「なま夏」(2006年)がゆうばり国際ファンタスティック映画祭でグランプリを獲得した。塚本晋也監督作品の照明マンで技術を身に付けながら自作小説を映画化した「純喫茶磯辺」(08年)で商業映画監督デビュー。以後自作オリジナル脚本で「さんかく」「ばしゃ馬さんとビッグマウス」「麦子さんと」など異色青春映画を連作し才能を発揮している。

 その後、原作もので「銀の匙 Silver Spoon」「ヒメアノール」を発表しメジャー監督の仲間入りをした。「それを機にまたオリジナルなものがやりたくなって、今回書きかけていた2本の作品を読み返し、1本の作品にしたら面白いということを考えついた。兄弟と姉妹の話がそれで、容姿も性格も全く違うそれぞれがすれ違う人間喜劇になった」

 舞台は地方都市で、親の借金をコツコツと返しながら印刷会社の営業マンをやっている真面目な金山和成(窪田正孝)と、刑務所から出所したばかりの兄の卓司(新井浩文)の兄弟。小さな印刷会社を営む姉の幾野由利亜(江上敬子)と、その下で事務をする妹の真子(筧美和子)。姉は肥満ぎみのブスキャラで、妹は美人だが少しユルキャラである。

 「二枚目の窪田くんと暴れん坊の新井さんはこれまでの作品を見ればとても信用できる俳優で演技が上手だから、台本にそれぞれの思いを重ねてもらって撮影が進んだ。一方の女性陣は、何が起こるか分からない飛び道具で、2人の掛け合いと同時に男性陣にどう絡んでくれるかが勝負だった」

 江上によって映画の設定ができたという。「江上さんは僕が好きな藤山直美さんに似ている。彼女が持つ悲愴(ひそう)感だったり、負の匂いはただものではなく、それに美人だけが取りえというタイプの筧さんが突っかかるのが面白かった。筧さんの出演が決まったとき、『胸がでかいだけで、特に何もない』とキャラ説明すると彼女は『むっ』としていた(笑)」

 これまでの※田映画では「ばしゃ馬−」の麻生久美子、「麦子さん」の堀北真希、「銀の匙−」の広瀬アリスなど人気者が好演。「今度の江上さんは日本映画学校卒で、芸人コンビ・ニッチェをやっており、これからフィーバーしてほしい。筧さんはいろんな作品で知名度があるが、今回の演技で一つの壁をくぐったような気がする」と目を細める。

 「この映画を見て、兄弟、家族をあらためて見直してもらえたらうれしい。僕の場合、姉がいるので映画を見てもらってから話そうと思うが、怒られそうな気がする」。埼玉県出身。次回作は人気漫画の原作に挑戦するという。

※は吉の士が土


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