来阪catch

映画の神様が来た

映画「Vision」 
監督 河瀬 直美
主演 永瀬 正敏
2018年6月2日

吉野山の森に導かれて

「ビノシュさんと奈良でいい仕事ができた」という河瀬直美監督(右)と永瀬正敏=大阪市内のホテル
ジュリエット・ビノシュ(右)と永瀬正敏(C)2018「Vision」LDH JAPAN,SLOT MACHINE,KUMIE INC.

 奈良・吉野山の神秘的な森を舞台にした河瀬直美監督(49)の新作「Vision」(LDH PICTURES配給)が8日から、大阪ステーションシティシネマほかで公開される。「吉野山の森に導かれて」という河瀬監督と、「撮影中に映画の神様が降りて来た」という主演の永瀬正敏(51)に話を聞いた。

 河瀬監督は18歳の時に8ミリカメラと初めて出会い映画を撮り始めた。あれから30年。劇映画デビュー作「萌の朱雀」を撮ってから21年になる。同作がカンヌ国際映画祭でカメラドール(新人監督賞)を受賞し、2007年の「殯(もがり)の森」で同映画祭グランプリ(審査員特別大賞)につながり、カンヌの申し子と言われるようになった。

 「Vision」はちょうど長編映画10本目。「昨年、前作『光』を出品しカンヌ映画祭に行った時、プロデューサーの紹介でフランス女優のジュリエット・ビノシュさんに会った。一緒に映画をという話になって、日本の森に行きたいというビノシュさんの希望で、すぐに物語を考えた。ビノシュさんが吉野山の森に導かれるように入って行くイメージだった」

 ビノシュさんの相手役が吉野山の森できこりをしている永瀬で、河瀬作品は「あん」「光」に続いて3本目。「河瀬監督とビノシュさんの映画に呼ばれるなんてラッキーで、いつものように、撮影前に現場に行って、そこで生活することからスタートした。河瀬映画はテスト、本番という順ではなく、突如カメラが回ったりするドキュメンタリー手法なので、それに応えられるように、山で暮らすきこり・智の家に住んで準備した」

 映画は外国人のビノシュさんが吉野山にやって来て、きこりの智と出会い、そこで一緒に生活し過ごす数日をファンタジックに描いている。「ビノシュさんの映画はアカデミー賞主演女優賞の『イングリッシュ・ペイシェント』や『ポンヌフの恋人』を見て、同じ女性として共感するところがあって好きだった。ビノシュさんと永瀬さんのラブシーンもいい映像になった」と河瀬監督はにっこり。

 永瀬は「河瀬さんの映画でいつも思うのは、彼女は魔女ということ。撮影は順撮り(シーンの順番通り)だが、次は雨のシーンだという時、必ず雨が降り出す。映画の神様が降りて来たという感じ。どんな映画でもそれはあるけど、河瀬マジックは一度や二度ではないのですごいと思う」と強調する。

 「永瀬さんとは3度目だったのであうんの呼吸というところがあってとてもやりやすかった。W主演のビノシュさんと、岩田剛典さん、夏木マリさん、森山未來さん、田中泯さんらが初めての仕事で、永瀬さんがクッションになってくれて助かった」と河瀬監督はほほ笑む。

 河瀬映画は彼女の故郷・奈良とのつながりが多い。「奈良吉野山3部作」に当たるのが今作で「美しい森を守るためにはどうすればいいか。この先の人間と森の共生を考えなければならない。そんな映画にしたかった」