来阪catch

人生まだここから

映画「終わった人」
主演 舘 ひろし
2018年6月9日

自虐的だが、楽しく

「実はまだ終わっていない映画だった」と話す舘ひろし=大阪市内のホテル
舘ひろし(左)と黒木瞳=(C)2018「終わった人」製作委員会

 舘ひろし(68)が2年前の「さらば、あぶない刑事」に続いて映画主演した「終わった人」(東映配給。中田秀夫監督)が9日から大阪ステーションシティシネマほかで公開される。定年後の人生をどう生きるかを描いたコメディーで「題名とは反対に、ここから始まるという感じで、自虐的ながらも楽しく演じさせてもらった」という舘に話を聞いた。

 歌手からスタートし映画「暴力教室」(1976年)で俳優デビュー。その後「西部警察」「あぶない刑事」などのシリーズで活躍してきた。渡哲也と一緒に石原プロを担ってきたのもよく知られている。「気がついたら僕もこの年になっていた。映画の主人公が『終わった人』というので最初は出演を断ろうかと思ったが、実はここから人生は始まるという話なので、やらせてもらうことにした」とにっこり。

 「さらば、あぶない刑事」でも主人公は定年を迎えた。「あの撮影のころ今回の話があったので、気持ちがつながった気がする。コンビだった柴田恭兵さんはとても尊敬する俳優さんで、コメディーの演技など多くのことを教えてもらった。今度の映画で定年を迎える田代壮介という役どころは、あのシリーズがあったからできたと思う」

 日本映画はコミック原作など若い人向きが主流で大人の映画は少ないのが現状。そんな中、東映がかつてのヒット作「仁義なき戦い」(73年)を復活させた「孤狼の血」がクリーンヒットし続編製作が決まった。「同路線のようにこちらも大人のためのエンタメ映画なので、大いに笑って楽しんでもらいたい」

 物語はある会社で定年を迎えた田代が同僚や部下に送られて玄関を出て来るシーンから始まる。「中田監督からとにかく『カッコ悪い男』を演じてほしいと“死んでるスーツ”で枯れたおじさんの感じで歩いてくださいと言われた。腹に詰め物を入れ、つまづいて歩いたり…。こんな情けない演技は初体験だったが、これが自虐的だけど、結構楽しかった」

 原作は内舘牧子で、映画「義務と演技」(97年)以来2度目の遭遇。「主人公は銀行のエリートコースを外されて、子会社に左遷させられる。その時彼はすでに終わったのではないか。原作を読んでそう思った時に、何かピンと来るものがあった。定年時、彼は仕事に対してはまだ終わってないと思ったのではないか」

 妻の役はドラマ「新宿鮫 屍蘭」(96年)など3本で共演し、今回映画は初めてながら4度目の共演になる黒木瞳(57)。「約20年ぶりの共演だったが、とてもやりやすかった。美人で優しいし、アドバイスもしていただいた。ただ、しっかり妻だから、愚痴をこぼす夫が気に入らず、怒ることも。彼女が怒りながら夫のうどんを作る台所のシーンはとてもよかった」

 「俳優に定年はない。いろんな役を演じさせてもらったが、これからも仕事は続けたい。定年世代がこの映画を見てこれからの人生をポジティブに捉えてもらえるとうれしい」