来阪catch

「女相撲で体幹鍛えた」

映画「菊とギロチン」
監督 瀬々 敬久
主演 木竜 麻生
2018年7月7日

構想30年、男の憧れ映像に

「面白い映画ができた」と話す木竜麻生(右)と瀬々敬久監督=大阪市内
「菊とギロチン」の木竜麻生(右)=(C)2018「菊とギロチン」製作委員会

 大正末期の関東大震災直後の日本を舞台にアナキスト・グループで生きる若い男と、女相撲で生きる女の出会いと別れを描いた映画「菊とギロチン」(トランスフォーマー配給)が7日から、テアトル梅田で公開される。「女相撲で体幹を鍛えて演じた」という主演の木竜麻生(まい)(23)と「長年の男の憧れを映像にぶつけた」という瀬々敬久監督(57)に話を聞いた。

 瀬々監督はピンク映画を出自にしてメジャーに進出し「64−ロクヨン−」シリーズや社会派「友罪」などを発表し日本映画界を担う活躍を見せている。一方で4時間半の自主映画「ヘブンズストーリー」(2010年)でベルリン国際映画祭国際批評家連盟賞を受賞するという実力派。新作は後者で3時間9分の意欲作である。

 「30年前の助監督時代にやりたいと思った企画で、ようやく実現した。自分がやりたいことがやれない鬱憤(うっぷん)が、大正末期のあの時代のアナキスト・グループの心意気とシンクロした。それと当時あった女相撲の若い力士たちの『強くなりたい』とする思いを一緒にすれば、あの時代の若者の純粋な願いが描けると思った」と瀬々監督。

 アナキスト・中濱鐵役の東出昌大(29)は「たまたま時間が空いている」と出演を引き受けたそうだが「あの頃の歴史に興味がある」と積極的だった。佐藤浩市の長男の寛一郎(21)はオーディションで選ばれこれが俳優デビューで、同志の古田大次郎を演じている。女相撲の女優もオーディションで主人公の花菊に木竜が抜てきされた。「不器用そうで、とても芯がある。ヒロインにぴったりだった」と瀬々監督は振り返る。

 中2の時、原宿でスカウトされCMデビュー。本格的に活動を始めたのは大学進学のため故郷の新潟から上京してからで「まほろ駅前狂騒曲」など数本の映画出演がある。主演は今回が初だが「瀬々監督の『ヘブンズ−』を見ていたので、きっと面白い映画になると思って志願。女相撲は未知の世界で、日大女相撲部の方から約2カ月習って撮影に入った」

 農村の百姓の女房だったが、夫の暴力で家を飛び出し女相撲に飛び込んだ。「まずまわしをするのが初めてで変な感じだったが、四股を踏み、すり足を覚え、体幹を鍛え、花菊の得意技になっている内無双を覚えた。とにかく、稽古を終えると、心臓が耳で鳴っている状態で、何も分からなくなった。毎日家に帰ると体にあざや傷があった」と苦笑い。

 一方で寛一郎扮(ふん)するアナキストとほのかな感情交流もあり「寛一郎さんと相談しながら演じた。監督は自由にやらせてくださったが、厳しい目が光っていた」と木竜はほほ笑む。「映画のテーマが『自由に生きる』だから、出演者やスタッフも同じ気持ちでやった」と瀬々監督。

 撮影は松竹京都撮影所を中心に行われ黒澤明、溝口健二ら巨匠の英知を受けている馬場正男(美術監修)ら多くが参加し「あの時代の空気感が生まれた」と付け加える。韓英恵、大西礼芳らが女力士の役で共演。永瀬正敏がナレーションを担当している。



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