来阪catch

家族の愛を乗せ走る

映画 「かぞくいろ− RAILWAYS わたしたちの出発−」
監督 吉田 康弘
2018年12月1日

嫁と父の再スタート

「今の時代の人と人のつながりを…」と話す吉田康弘監督=大阪市中央区の読売テレビ
有村架純(奥)と國村隼(C)2018「かぞくいろ」製作委員会

 シリーズ映画第3弾「かぞくいろ−RAILWAYS わたしたちの出発−」(松竹配給)が大阪ステーションシティシネマほかで上映されている。鹿児島県と熊本県を結ぶ肥薩おれんじ鉄道が舞台で、有村架純と國村隼が主演。「家族の愛を乗せて、嫁と父の再スタートを描いた」という大阪出身の吉田康弘監督(39)に話を聞いた。

 井筒和幸監督の「ゲロッパ!」(2003年)で監督アシスタントとして初めて撮影現場に付いた。以後、井筒作品を中心に助監督と脚本修業に励み、大竹しのぶと石田卓也が親子を演じた「キトキト!」(07年)で監督デビュー。以後沖縄県南大東島で親と娘の別れを描いた「旅立ちの島唄〜十五の春〜」、宮※あおいと橋本愛が母娘を演じた「バースデーカード」と家族をテーマにした作品が続いている。

 「井筒作品でアクション映画の脚本も書いたが、監督では家族ドラマが多い。今度の作品は『RAILWAYS』シリーズの3作目で、大人の話をオリジナルで作っていいということで、声をかけてもらってうれしかった。肥薩おれんじ鉄道はJRから第3セクターになって継続しているディーゼルで走る一両編成の電車。美しい九州西海岸の景色を背景にして、女性運転士の電車が走るのは絵になる」

 主人公は都会で暮らす奥薗晶(有村)で、夫の修平(青木宗高)と連れ子の駿也(歸山竜成)と一緒に生活している主婦。それが夫の急死で、彼の父親の奥薗節夫(國村隼)が暮らす鹿児島県の阿久根市を訪ねる。

 「息子の駿也と血がつながっていないのに、夫の父親とは会ったことがない。その3人がそこで一緒に暮らすことで、新しい生活を始める。今の時代だから、血のつながりとは別に、人がどうつながって生きるかを描こうと思った」

 節夫は肥薩おれんじ鉄道の運転士をしている定年間近の男。晶はそれを見て何かしなくてはと思う。「たまたま晶が運転士になろうと決心するのは、夫の修平が小さい時になりたかった仕事で、駿也もまた電車が好きだったことで、彼らが喜んでくれると思ったから。晶が修平と結婚する経緯を含めた裏ストーリーを作った」

 節夫は血のつながっていない嫁に運転士の仕事を教え継がせ、2人は家族の絆を深める。「昭和の時代からつながる血縁のテーマに現代を重ねることにより、今の時代が見えてくるような気がする。有村さんは晶の不器用だけどぬくもりを持った女性像を、國村さんは土着性のある優しい男を演じてくださった」

 桜庭ななみ、筒井真理子、木下ほうか、板尾創路らが共演。富貴晴美の音楽と斉藤和義の主題歌が情緒を盛り上げている。

※は崎の大が立