相沢冬樹と大宮賢悟の酒と肴と男と女

 この連載、酒と肴(さかな)について、私が呑(の)み仲間と呑み屋で語り合う。相方の大宮賢悟氏は、日本酒の素晴らしさを広めようと活動する団体「愛LOVE日本酒」の代表。酒蔵のアドバイザーを務めるとともに、大阪を中心にさまざまな日本酒の催しを手掛ける。彼が語る日本酒の魅力とは? 「食との相性を考えながら飲めるところですね。最高の食中酒です。アテ(肴)とのペアリングこそが醍醐味(だいごみ)です」

うたげどころ うぉっしゅ

【うたげどころ うぉっしゅ】
大阪市北区曽根崎新地2−3−13
電話06(6454)0360
2018年12月4日

全都道府県の酒堪能

NAGARA−GAWAを注ぐ利き酒師の坂西靖裕氏(中央)
店の入り口と利き酒師の坂西靖裕氏

 この連載、「酒と肴(さかな)の相性は男と女の相性に似ている」という大宮賢悟氏(日本酒愛好団体「愛LOVE日本酒」代表)の持論から名付けた。決して大阪が生んだ偉大な歌手、河島英五さんの名曲からパクった訳ではない…と言っても誰も信じませんよね。はい、すみません。

  ◇   ◇

 「さあ大宮さん、気を取り直して連載2軒目の店に行きますか」

 「気を取り直してって相沢さん一人でボケとツッコミやってるだけですやん…。2軒目は『うたげどころ うぉっしゅ』。大阪メトロ西梅田駅9番出口から西に徒歩1分です。ここも全都道府県の日本酒が飲めるんですよ。しかも店がかなり広くて、これからの忘年会シーズンにもうってつけです」

 われわれは地下の店へと階段を下りてゆく。

 「きょうは何からいきます?」

 「岐阜のNAGARA−GAWA(長良川)ultimate dry」

 「あのね、それ大宮さんがプロデュースした小町酒造の酒でしょ。いろんな店で散々飲まされましたよ。もう、強引だなあ(苦笑)」

 「(知らんぷりで)この酒の特徴は何と言っても※日本酒度+20、酸度2・0、アルコール度数20度という他に類をみないスペックにあります」

 ※日本酒度は酒の重さの指数だが糖分が多いと重くなるため、一般に日本酒度が高い(=軽い)と辛口、低いと甘口になる。酸度は高いと辛口、低いと甘口になりやすい。

 「く〜っ、これだけ辛口スペックにするとパンチがありますね」

 「クセのある酒を好む方には、これ位尖(とが)ってる方がいいかと。相沢さんにもね」

 最初のアテは名物、玉手箱。重箱のふたを開けるとドライアイスの白い煙が立ち上り、中にアテがぎっしり。さあ何を合わせる?

 「大宮さん、私は梵(ぼん)のときしらず(福井)をいきたいんだけど」

 「北陸の酒が好きですねえ。これは燗(かん)の方が映えますよ」

 確かに燗が多彩なアテのどれとも合いそうだが、冷酒でも旨(うま)い。次に大宮氏は唐揚げを頼んだ。これがまたバカでかい。1個にもも肉半分を使うらしい。

 「なんで唐揚げを…ビールでも飲むの?」

 「いやいや、合う酒があるんですよ。不老泉(滋賀)の山廃純米吟醸、備前雄町(酒米)。雄町の野性味を生かした味わいと、この蔵の特徴でもある酸と切れ味が抜群に合う!それどころか唐揚げが負けるかも(笑)」

 店のもう一つの名物は自家製の干物。セラー内にあり、自分の目で選ぶことができる。平日はコース料理にすべての日本酒が飲み放題で税込み5千円というのもありがたい。われわれのピッチもさらに上がる。さあシメの酒は?

 「大宮さん、私、これをいきたい!」

 「夜の帝王(広島)特別純米ですね。一度飲んでみたいと思わせる名前勝ちの酒。香りに甘さを感じるが飲むとシャープな辛さ。昼と夜の顔が違います」

 「大宮さん、私、もう味が分かりません!」

 完全にできあがってしまったのは、やはり店がいいからです。ここ、オススメです!

(相沢冬樹)

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