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| 「作家はマザコンが多い」と話す原田真人監督=大阪市内のホテル |
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| 役所広司と樹木希林=(c)2012「わが母の記」製作委員会 |
第35回モントリオール国際映画祭審査員特別グランプリを受賞した「わが母の記」(松竹配給。原田真人監督)が28日から、大阪ステーションシティシネマなどで全国公開される。井上靖の自伝的な同名原作の映画化。「60年代と松竹大船調にこだわった」という原田監督に撮影裏話を聞いた。
―外国の映画祭で大変な反響があった。
モントリオールのほかに釜山、シカゴ、ハワイ、ムンバイ、インドなどの映画祭に出品された。1960年代を背景にした日本の家族の話をそれなりに理解してもらったのがうれしかったが、特に井上靖さんとその母親の親子の物語は国境を超えて普遍的なものだという証明になったと思う。
―井上靖原作のどこに引かれたのか。
いろいろあるが、「わが母の記」は三世代家族の話で、僕が育った環境と似ていたことがある。井上さんは静岡県立沼津東高等学校の先輩でもある。三世代家族というのは日本映画から消えてしまった世界で、同時に今60年代を描くのは難しいといわれているのであえて挑戦した。
―作家とその家族という意味でも、自分自身と重なる?
僕の家は旅館をやっていたが、僕が作家としたらその家族との関係でいえば似ているかもしれない。井上さんの家族は奥さんと娘2人、息子2人だったが、三姉妹に脚色した。それが映画的ということと、井上さんの長女と親しくさせてもらっていて、彼女に話を聞くと「男よりも女の方がしっかりしていた家族だった」そうで、脚色を了承していただいた。
―作家に役所広司、母親に樹木希林というキャスティング。
役所さんとは「KMIKAZE TAXI」(95年)から5本目の付き合いで気心が知れているが、今回の作家役は一番よかったし、味があった。作家が持つ色気と、専制君主的な父親というキャラクターにぴったりだった。樹木さんはこれまでも母親役をいろいろ演じておられるが、今回は認知症ぎみで、どこまでが本当で、どこまでがぼけなのか分からない感じを見事に表現してくださった。
―「息子が母親に捨てられた記憶」というのが一つのモチーフ。
子どもの時の記憶は誰しも鮮烈にあるが、作家だけにそれはより強かったと思う。映画の冒頭に、若いころの母親が妹2人と雨宿りしていて、向かいに離れて息子が立っているシーンがある。これは小津安二郎監督の「浮草」(59年)のDVDパッケージの写真にもなっている場面を再現し小津監督をリスペクトしたもの。若い母親は樹木さんの推選でまな娘であり本木雅弘夫人の也哉子さんにやっていただいた。
―何度も泣けるシーンがあった。
母親と息子の親子の情愛は普遍的なもの。僕もそうだったが、見られた人はそこに自分を、自分の母親を重ねるからではないかと思う。僕は50歳を過ぎて井上文学を自分で検証した。作家と母親という関係の特殊性もあったかもしれない。それは映画の中の、父親と3人の娘たち(ミムラ、菊池亜希子、宮崎あおい)の関係にもつながっている。父親に反抗する末娘の言動が面白い。
―見方によれば作家はマザコンである。
井上さんだけでなく作家にもマザコンが多い。映画監督にも父親系と母親系がいて後者ではヒチコック、ベルイマン。真ん中の娘にベルイマンの名作「処女の泉」の話をさせている(笑)。小津監督もそうだし、僕もそうですよ。その意味でこの作品で自分も作家であると自覚させられた。井上さんでいえば、小説「しろばんば」で少年時代を書いており、あこがれる女性教師に母親の面影を重ねている。ともあれ、今回は松竹大船調と小津監督へのこだわりがあった。










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