日曜インタビュー

老人が活躍するのがいい

映画「オケ老人!」
出演 小松 政夫
2016年11月13日

今でも博多山笠に

「師匠・植木等さんのおかげでここまで来れた」と話す小松政夫=大阪市北区の中央電気?楽部
小松政夫(右端)ら出演者=(C)映画「オケ老人!」製作委員会

 若いバイオリニストと年寄り楽団員たちの友情を喜劇的に描いたクラシック音楽エンターテインメント映画「オケ老人!」(ファントム・フィルム配給。細川徹監督)が、大阪のTOHOシネマズ梅田ほかで上映されている。「老人が活躍する映画はいいね」というベテランの小松政夫に出演の弁を聞いた。

■植木等の運転手

 −師匠の植木等さん(故人)は映画「無責任男」シリーズのヒーローだった。

 僕は1961年ころに福岡県から上京し、いろいろな職業を経験し、車のセールスマンの後、「植木等の付き人兼運転手」の広告に応募して採用された。植木さんはクレージーキャッツのスターで、映画では「日本無責任時代」(62年、東宝)が大当たりして売れっ子スター。当時、クレージーキャッツやザ・ピーナッツなどが出演した人気バラエティー番組「シャボン玉ホリデー」に出させてもらいコメディアンとしてデビューした。

 −セールスマンの成績は良かったとか。

 当時1カ月に22台売ったときもあるから相当なもの。月給100万円もらったこともあって、植木さんの付き人では最初7千円だった。それでも昔からコメディアンになりたいと思っていたので「植木様」という感じで頼って、とにかくうまく仕えて一日も早く出世したいと思った。

 −植木さんは歌がうまいし、ギターも上手だった。

 天才で何でもできた。クレージーキャッツはバンドマンの集まりだから。僕もまねをしてバンドボーイを気取ったが、ウクレレを少しいじったくらいで終わった。今回の映画「オケ老人!」の出演依頼で、オーケストラの一員の役だから無理だと最初は思った。結局、老人だけのオーケストラであって、そんなにうまくなくてもいいというので出演した。

■主役は杏さん

 −チェロを担当している。

 笹野高史さん、左とん平さん、藤田弓子さん、石倉三郎さんらがメンバーで、一緒に練習する時間もあってみんな一生懸命だった。笹野さんは昔楽器をやっていたそうだが、まあ、弦楽器は難しかった。映画はそんな年寄りの寄せ集め楽団に若い女性が入って来て、彼女が指揮者をやるので僕ら年寄りはうれしい。杏さんはとてもかわいくて、撮影が楽しかった。

 −個人レッスンも受けた?

 撮影前にコンサートに行った。知り合いの人がオーケストラにいたので頼んで、いろいろ教えてもらった。チェロもそうだが弦楽器はビブラートが難しい。演奏は何とかごまかせたが、ビブラートの部分は微妙だった。しかし、ほかの人もみんな稽古して頑張っているので負けられない。年寄りが頑張る映画はいいものですよ。

 −杏さんとは初めての共演になる。

 彼女があいさつに来てくれて、とてもいい子だと思ったら、彼女の事務所の社長は僕が昔いた渡辺プロに関係があった人で、さすがよくできていて、杏さんとも仲良く仕事ができた。人懐っこい感じでとても優しかった。10月に僕は最初で最後のCDを出した。「親父の名字で出ています」(ワーナーミュージック)というもので、「植木の親父に逢いてぇなあ…」という気持ちを歌ったもの。元渡辺プロの園まりさんとのデュエット曲も入っている。

 −最近、映画出演、舞台出演と出番が多い。

 日本喜劇人協会の芝居を大阪でやったが、喜劇だけじゃなく新劇のシリアスな舞台にも呼ばれて、えらいことになったと思った。シェークスピアの「リア王」のような舞台で、名優がやるような役。「おれも名優に?」と誤解した(笑)。和歌山で撮った「ちょき」という映画にも出た。

■映画はいい

 −日本喜劇人協会の会長を務めている。

 大村崑さんから継いで何年かやっている。古い人間は「引き出し」は多いけれど、なかなかそれを出す場が少ないのも確か。僕はもう若い人をプッシュする立場で、コメディアンを育てなければならない。しかし、映画はいいねえ。SFなどはダメだけど、「多羅尾伴内」の片岡千恵蔵、「鞍馬天狗」の嵐寛寿郎。故郷の博多で子ども時代、よく見た。博多山笠は、今も帰って参加している。

こまつ・まさお 1942年生まれ。福岡県出身。61年に俳優を目指して上京。最初職を転々とし、植木等の付き人兼運転手になり芸能界に。テレビ「シャボン玉ホリデー」でコメディアンとしてデビュー。「小松の親分」と呼ばれ人気者に。多くのコメディー、映画、舞台で活躍しギャグもいっぱい。日本喜劇人協会会長(第10代)。