旅ばな

 外資系シティーホテル、大型リゾートホテルなどの総支配人を経て、現在、ホテル・旅館プロデューサーとしてホテルの再生・運営を主に活動する吉武英行が、旅のエピソードや宿での失敗談、宿の上手でお得な利用の仕方などを連載します。

これ、マジッすか!

2017年4月17日
床に浮き出た龍神さん

 伊勢神宮までドライブした際、おかげ横丁で食べ歩きの途中、親しくなった松阪牛を販売しているお店の女将(おかみ)さんからの情報で「車で15分くらいの行程で、松尾観音寺というお寺さんがある」と聞く。そのお寺は龍神(りゅうじん)伝説が有名なお寺さんで、10年程前に観音堂の改装後3年ほど経過したころから、少しずつだが床面に龍神さんが浮き出てきているという話を聞かされた。

 矢も盾もたまらず松尾観音寺に向けて車を走らせてみた。閑静な環境の中に厳かにたたずむお寺には観光客の姿はなく、静かに迎えてくれた。本堂に参詣し早速観音堂へ向かい、観音様に手を合わせ観音堂を出る。

 庭園の清掃をしている女性に床に浮き出た龍神さんのことを尋ねると、「今あなたがお参りした観音様のお堂の床をもう一度見てきて下さい」と。慌ててお堂に戻り床を見ると、なんと龍神さんの顔の部分が鮮やかに木目の床に表れているではないか。胴体までは見えないが、うろこらしき模様が点々と浮き上がって見える。ここへお参りに来る檀家(だんか)さんが発見してお寺の方に知らせたものらしい。

 応永10年、本堂から出火すると、二つ池から雌雄の龍が現れ、雄の龍が十一面観音を救出、雌の龍が消火活動を行い、雄龍は観音様をぐるぐる巻きにして守ったという龍神伝説が語り継がれているという。旅の途中でこういったサプライズに出合えると、旅はもっと楽しいものになる。

 (ホテル・旅館プロデューサー)