旅ばな

 外資系シティーホテル、大型リゾートホテルなどの総支配人を経て、現在、ホテル・旅館プロデューサーとしてホテルの再生・運営を主に活動する吉武英行が、旅のエピソードや宿での失敗談、宿の上手でお得な利用の仕方などを連載します。

神の山・神の森・神の水…戸隠

2017年6月26日
参道を挟むように立つ杉の大木

 いつものことながら、思いつきで旅立った。

 行き先は大好きな信州。今回は少し足を伸ばして、長野の最北端野沢温泉を目指す。野沢温泉は源泉45〜90度、アルカリ性100%の良泉である。麻釜(おがま)で半熟卵、外湯、そして村境、つじなどで見る道祖神などが興味深い。旅館の食事に朝も夕も卓上に出てくるのが野沢菜。飽きることなくおいしくいただけるのも旅のせいだろうか。

 翌朝、旅館の玄関を出ると正面に見えるのが残雪の妙高山、黒姫山。その風景に引き寄せられるようにさらに北へ向けて足を伸ばす。一度訪ねてみたかった戸隠へ向かう。車窓から見る妙高戸隠連山と呼ばれる、戸隠山、高妻山、妙高山、黒姫山の絶景は目を見張る迫力だ。上信越道、信濃町から戸隠に向かう県道信濃信州線はまさに薫風さわやかなドライブウエーである。今回は戸隠神社、奥社を参詣、そして戸隠そばを体験しようと決めた。

 戸隠山の地主神は、九頭一尾の龍。奥社は天照大神(あまてらすおおみかみ)が天の岩屋に隠れた時、無双の神力で岩戸を開いた天手力雄命(あめのたぢからおのみこと)を御祭神として祭る戸隠神社の総本社である。奥社への参道、片道約2キロ(40分)は相当きつい道のりだ。参道を挟むように延々と立ち並ぶ杉の大木が荘厳さを増す。参道の両側を流れる小川の所々に咲くミズバショウの花が心を癒やしてくれるというか、励ましてくれているようで、つい頑張れる気がする。

 念願の竹ざるに盛られたみずみずしい戸隠そばを堪能し、遠い急ぎ旅を終えて心地よい気持ちで帰路についた。

 (ホテル・旅館プロデューサー)