旅ばな

 外資系シティーホテル、大型リゾートホテルなどの総支配人を経て、現在、ホテル・旅館プロデューサーとしてホテルの再生・運営を主に活動する吉武英行が、旅のエピソードや宿での失敗談、宿の上手でお得な利用の仕方などを連載します。

笑顔こそ貴重な財産

2017年7月3日
「自然な笑顔」の接客が大切

 やっぱり「人」。どんな仕事もつまるところは「人」なのだとしみじみ感じている。この数年、ホスピタリー産業も大変な時代が続いている。「いかにお客さまのニーズに応えるか」。明けても暮れてもどこかで誰かしらが頭を悩ませている。

 この頃思うのは、例えば料理にしても、人間を感じさせない料理を出す店はいずれ淘汰(とうた)されていくのではないか。そして戦略のうまさで成功を収めた店も、企業の人柄がよくなければこの先も勝ち抜けるかどうか疑問だ。

 接客をどこまでマニュアル化すべきか、どこまで丁寧にすべきか、それとも型にはめないほうが親しみを増すのか…。さらに言えば店の空気をも共に創り上げられる力ある接客ができたら理想であるのだが。もちろん客層にもフィットしていなければちぐはぐな店になる。言うは易し、その辺が難しいことは私も重々承知している。

 人間誰しも笑って過ごしたい。しかめっ面を見るより笑った顔を見たいものだ。特に宿泊施設に来る大半のお客さまは、日頃の疲れを癒やすのが目的だから、なおさらその要望も強いだろう。顧客化につながる笑顔のある接客こそ、唯一の顧客満足を呼ぶ「戦略」といえるかもしれない。

 難しい戦略プランを練るよりも自然な笑顔の練習こそ、売れる店づくりには先決かもしれないと、最近実感する場面が多い。しかし、この「自然な笑顔」を創り出すことが困難な世の中であることも事実なのだが。われわれはこれからもしっかり、お客さまの相手役をきちんとこなし、良い環境を提供していくことにまい進しなければならない。

 (ホテル・旅館プロデューサー)