旅ばな

 外資系シティーホテル、大型リゾートホテルなどの総支配人を経て、現在、ホテル・旅館プロデューサーとしてホテルの再生・運営を主に活動する吉武英行が、旅のエピソードや宿での失敗談、宿の上手でお得な利用の仕方などを連載します。

ひとりという贅沢

2017年11月6日
お気に入りは「ひとり旅」(写真はイメージ)

 ひとり行動の機会がめっぽう増えてきた。現役をリタイアした方なら誰しもが体験している事象ではないだろうか。客観的に見るならば「寂しい」と映るかもしれない。しかし当人にとっては全くそんな心配は無用であり、“ひとり徘徊(はいかい)”に幸せを感じていると言っても過言ではない。

 一日中、誰とも会話しない日も日々、増えてきた感はあるが、それはそれで徘徊するエネルギーになっている気がしないでもない。ひとりカフェ、ひとり焼き肉、ひとり回転ずし等々、結構冒険の域である。ひとりカラオケはまだ踏破してないが。特にお気に入りはやはり「ひとり旅」である。

 数年前までは宿に難があった。旅館に泊まりたいが、ひとり客はお断りという風潮があり、いやな断れ方をされたものだ。最近は「ひとり客歓迎」の宿も増えてきて、不自由なく泊まることができるようになってきた。1泊2食付きの旅館も良いが、最近は旅先での宿はシティーホテル、もしくはこざっぱりとしたビジネスホテルに宿を決め、町に繰り出してご当地グルメを楽しむことに喜びを見いだしている。

 宿の食事が悪いというわけではないが、ただ多人数の食事を作るという意味では、一品一品にこだわるという神経が行き届かないのではと想像してしまう。その点、町場のお店は個人客の反応をうかがいながら料理の受けはどうだろうかと、常に反応を意識してくれるというか、一つの料理に「乾坤一擲(けんこんいってき)」の空気が伝わることが多い。最近はもっぱら名店探しの“徘徊”に精を出している。

 (ホテル・旅館プロデューサー)