旅ばな

 外資系シティーホテル、大型リゾートホテルなどの総支配人を経て、現在、ホテル・旅館プロデューサーとしてホテルの再生・運営を主に活動する吉武英行が、旅のエピソードや宿での失敗談、宿の上手でお得な利用の仕方などを連載します。

お客の言い分

2018年1月15日
細かな心配りがおしゃれな空間を演出

 マニアックな旅館、温泉のファンが増加しているらしい。知人の中にも「かけ流しでなければ温泉ではない」。料理は「地産地消」でなければ、みたいな厳しい意見の人たちがいる。

 マニアというのはどこにでもいるもの、そういう人がいてもいいと思う。私はそこまで求道的なマニアではないので。要は気分よく時間を過ごせればそれでいい。おおらかな考えではあるが、時々細かいことが気になることもある。

 今どきの人気の宿は3カ月先まで予約が取れない、1年先まで予約が取れないところがあるとか。そうなるとよほどのマニアでなければ泊まれない。執念のない普通の人にとっては釈然としない話だ。

 私の訪れた旅館の話であるが、古い建物を上手に再生して、モダンな中にノスタルジックな雰囲気に仕上げた内装は素晴らしかった。サービス、接客もベタベタせず、しかし目が合えばニッコリしてくれる。これも良い。客室も素晴らしい調度で、食事は部屋食ではなくレストラン。現在はこれが主流になりつつある。

 部屋食はまず清潔でない気がする。朝食の部屋食はなおさらである。布団を片づけたあとのホコリ舞う中で準備された朝食はやはりいただけないと思う。

 レストランでの食事もなかなか良かった。BGMは私の好きなジャズで、ジョンコルトレーンが流れ結構楽しい食事になったのだが、小1時間ほどするとまた同じ曲が流れてきた。そしてまた3曲目に突入、いくら好きな曲でも3回は興ざめだ。

 気にならない人はまったく気にならないと思うが、しかしそういった細かな心配りの集大成が、おしゃれな空間だと思うのだが。

 (ホテル・旅館プロデューサー)