旅ばな

 外資系シティーホテル、大型リゾートホテルなどの総支配人を経て、現在、ホテル・旅館プロデューサーとしてホテルの再生・運営を主に活動する吉武英行が、旅のエピソードや宿での失敗談、宿の上手でお得な利用の仕方などを連載します。

我慢の限界・その2

2018年2月26日
「モー我慢の限界」。支配人の心無い行動が応対で旅が台無し

 友人Aさんのボヤキを紹介しよう。Aさんは数年ぶりの里帰りで九州熊本の阿蘇へ。初めての夫婦旅である。どうしても一度案内したかったリゾートホテルである。途中あれこれとご当地自慢をしながら念願の宿へチェックイン。

 案内された部屋は眺望もさることながら部屋の広さにも満足。開け放たれた窓のカーテンが吹き上がり心地よい高原の風に心は満喫した。荷ほどきを始めたその時、床のあちこちに虫の死骸が。気になることはないが、奥さまが虫アレルギーということで、慌てて拾い集め紙に包みサイドテーブルに置き、フロント係に連絡。詳細を話し、処分をお願いして夫婦で散歩に出かけた。

 夕方、部屋に戻ると虫の残骸は放置されたまま。館内電話でフロントに苦情を言うと早速走り込んできて謝罪をし、片づけてくれたが、問題はその後。夕食を楽しんで館内を探索して夜10時過ぎくらいに部屋へ戻ると、サイドテーブルの上に土産の菓子箱らしきものが置かれてあった。

 先ほどの虫の件の謝罪かなと、フロントに尋ねたが誰も知らないという。翌朝チェックアウトの際、再度尋ねてみたが同じ答えしか返らず、誰が勝手に部屋に入ったのか、納得できず支配人を呼んでもらい事情を話した。

 その支配人の返答だ。「昨日はフロントが迷惑かけたそうですね、わびの気持ちで清掃係に菓子箱を届けさせました」。あぜんとした。謝罪の意味も、無許可侵入も全く理解していないこの責任者。どこに謝罪の気持ちがあるのか。実際大した事件でもないし、わびも必要ない事案であるが、この支配人のとった心無い応対でせっかくの旅が台無しになった。

 まさに、我慢の限界。「旅は、いい宿あってのいい旅」。心当たりのある支配人さん、反省しなさい。

 (ホテル・旅館プロデューサー)