旅ばな

 外資系シティーホテル、大型リゾートホテルなどの総支配人を経て、現在、ホテル・旅館プロデューサーとしてホテルの再生・運営を主に活動する吉武英行が、旅のエピソードや宿での失敗談、宿の上手でお得な利用の仕方などを連載します。

旅人のチョット気になること

2018年7月2日
旅は自分自身の思い出

 インバウンドの外国人旅行者による「爆買い」が話題視されている昨今、実は十数年前まではわれわれ日本人も海外旅行において、すでに爆買いを体験しているはず。当時、持ち込み規制の洋酒3本までをはじめ、ネクタイ、たばこ等々、本当にすさまじいほどの爆買いであったことを覚えている。

 現在、「旅」を専門に活動している筆者だが、学生だった時代からずっと疑問に思うことがある。今日に至ってもその疑問は拭えていない。日本人はどうして旅に出ると決まり事のようにたくさんのお土産を買うのか。会社の仲間たちへ、親戚へ、子どもに、両親にと。決して悪いことではないが、欧米人にもこれは不思議な現象に映るらしい。

 そもそも旅先での買い物とは、自分の旅の思い出にと買うのでは。旅は自分自身の旅であって、自分以外の人に旅の思い出のお裾分けをしても何の共有もできないと思う。日本に昔からある風習で、お中元、お歳暮などの贈答、人さまの家を訪ねる際の手土産、バレンタインデー、ホワイトデーなど、メーカーの素晴らしい企画に便乗しているだけではないだろうか。

 私たち、大人のそういった振る舞いを見て育った子どもたちも、その風習をまた自分の子どもたちに受け継いで行くのかと思うと、「ウーン」とついうなってしまう。他人のために、自分を犠牲にして、という日本人特有の文化は国際的には全く理解できないらしい。無駄な行為であり、無駄な浪費とやゆされる。

 これは、日本人の奥ゆかしさだと思う半面、すべてが人の目を気にしたパフォーマンスといえばそうかもしれないと思ってしまう。「他人の目を気にするより、他人の事を気にせよ」の精神こそが、日本の「おもてなし」につながるのではないだろうか。

 (ホテル・旅館プロデューサー)