旅ばな

 外資系シティーホテル、大型リゾートホテルなどの総支配人を経て、現在、ホテル・旅館プロデューサーとしてホテルの再生・運営を主に活動する吉武英行が、旅のエピソードや宿での失敗談、宿の上手でお得な利用の仕方などを連載します。

宿の共同販促に希望を見いだす

2018年12月3日
これからの宿は相乗効果の経営推進で活路を見いだしたい

 先日、少し変わったホテル経営者の会に出席した話である。昨今のインバウンドばやりにも少し陰りが見えてきたことに端を発してか、未来の集客手段を探るあの手この手のアイデアが飛び交い、盛況を博していた。

 朝日が望める宿、夕日がきれいな宿を集合させて、ゆくゆくは共同販促、相互送客などもやっていこうというのが目的。入会する条件は難しくなく、客室の半数以上の部屋から朝日、夕日が見えなければならない。日没、夜明けの時間をスタッフがきちんと説明できなければならない。これくらいの課題が入会条件だそうだ。

 イーストコースト、ウエストコーストオブジャパンなど誰しもが思い浮かぶネーミング案しか出てこないのがほほ笑ましい。しかし従来の東北とか山陰とかの暗いイメージを払拭(ふっしょく)していくには興味ある試みだと思う。そして共同販促を大型ポスターなどでイメージを拡大し、相互送客なり、クーポンを充実させたりすることは利用者にとっても有意義な取り組みだと思う。

 それぞれの宿が集客手段として、例えば「温泉ソムリエ」だとか「バルネオセラピスト」(温泉療法士)など特殊な個性を売り物にしているが、PR手段に乏しく、宣伝効果は低い。それに比べて共同販促となれば、一番のネックである広告予算を分担でき、低予算で大きな効果を期待できる利点がある。

 これからの宿の在り方は、相乗効果の経営を推し進めて、大手チェーンに対抗していくべきだと強く思う。井の中の蛙大海を知らず。頑張ろう、日本の宿。旅行者の癒やしの原点は、宿を営む皆さんの努力の先にあると考える。

 (ホテル・旅館プロデューサー)