トレンド特急便

トリスバー 一夜限り復活

北田辺育ちの開高健さん 9日命日
2018年12月5日

住民らが顕彰企画

開高健さん
近鉄北田辺駅前で毎年執り行われている「悠々忌」=2016年
ギャラリーで開かれている「開高健とサントリー展」の一角

 「裸の王様」で芥川賞を受賞した大阪市出身の作家、開高健さん(1930〜89年)をしのび、住民らが顕彰活動を続けている。命日に当たる12月9日は作家を悼む「悠々忌」を毎年執り行っており、来年で没後30年の節目を迎える今も人柄を慕うファンらが献花に訪れる。今年は、酒造メーカーでコピーライターとして活躍した往時に思いをはせ、かつて流行した「トリスバー」を一夜限りで復活させる。

 東住吉区の北田辺は、開高さんが文学者としての土台を形作った少年、青年期を過ごしたゆかりの地で、その功績をたたえようと2005年、有志らが近鉄北田辺駅前に文学碑を建立。命日には、縁ある人たちが故人が生前に好んだスイセンを供えている。

■「悠々会」準備

 悠々忌では例年、正午ごろに献花式典を執り行っているが、今年は午後4時から。さらに同5時から7時には、トリスウイスキーを味わいながら語らう「トリスバー」を区内で限定オープンさせる。

 開高さんが作家として開花し始めたころ、ウイスキー製造大手の壽屋(サントリーの前身)で宣伝部のコピーライターとして腕を振るい、1955年ごろに流行したのがトリスバー。“人間らしくやりたいナ”の名コピーが生まれたのはこの時代だ。

 出身校の大阪市立大などの関係者でつくる「開高健関西悠々会」が準備を進めている。旧宅が取り壊される直前の2010年には、限定バーを開けた経緯があり、担当者は「あれから8年。開高さんに関心のある人たちと語り合いたい」と期待を寄せる。

■地元で遺作紹介

 地元ギャラリーでは遺作を紹介。大阪メトロ田辺駅前にある「須田画廊」では、「開高健とサントリー展」と題し、壽屋のPR小冊子「洋酒天国」の現物を出展している。

 当時活躍した俳優や映画評論家、詩人など各界の著名人の寄稿を集めたほか、精巧な挿絵、ベッドに横たわる女性の大胆なセミヌード写真を掲載するなど先鋭的な内容だ。他にも自筆原稿や写真など計約100点からアイデアの一端が垣間見える。

 11日まで(5、6日は休み)。午前11時から午後6時(11日は同4時)。トリスバーは同区の友愛センター北田辺で。要申し込み。参加費は1500円。