亀井澄夫の妖怪不思議千一夜

中央区道頓堀および天王寺区茶臼山町

2017年4月11日

茶臼山に、三つ目小僧出現!

「二つ目を見世物にしてやるぞー」イラスト(C)合間太郎

 地方で河童(カッパ)や人魚のミイラを保存している所がある。たまに本物かどうかを調べる番組があるが、もともとの用途が見せ物小屋だったりするので、たいていは作り物。

 その昔、道頓堀にも見せ物小屋があって、親方と小僧の2人だけでやっていた。でも、猿の死骸に魚の尾をつけた人魚のミイラなど陳腐な見せ物ばっかりで、どんどん客足が遠のき、ついに人から飽きられた。この頃では食べるものもないというありさま。

 そこで親方は「茶臼山で三つ目小僧をつかまえた」と吹聴して人を呼ぶ、と言い出した。仏具屋で買った目玉をおでこに付けて、小僧を三つ目小僧にすると言うが、小僧は気が進まない。でも「捨て子のおまえを育ててやった恩を忘れたんか」と言われたら断りにくい。

 次の日、小僧は仏具屋に行って、親方に内緒で目玉をあと五つほど貸してもらった。そして「どうせなら親方が人を連れて茶臼山に行って、三つ目小僧が実際にいるのを見せた方がうわさが広まってよろしいやろ」と言う。「そりゃ、ええ考えや」ということになり、茶臼山に親方の友達を連れて行くことにした。小僧は逆に親方のことを嫌っている男たち5人を集めて「この目玉をおでこに貼って、親方をぎゃふんと言わしてくれ」と頼む。「それはおもしろい」と、男たちは三つ目に化けて茶臼山のほら穴にひそんだ。

 そうとは知らず親方が、友だち連中に「あそこや、三つ目をつかまえてくる」と大きな網を持って行ったが、そこで三つ目の男たちにかこまれて、あわてて逃げ出してきた。男たちは「よくも三つ目の仲間を見せ物にしようとしたな。逆にお前をつかまえて、三つ目の世界で二つ目の見せ物にしたる」とどなった。「わてが悪かった。かんにんして」と、親方は一目散に逃げ帰り、小僧はいやな三つ目をやらずにすんだ、というお話。

 他の地方にも類話がある。

 (日本妖怪研究所所長)


最新記事