亀井澄夫の妖怪不思議千一夜

茨木市清水

2017年10月23日

猫とねずみ、茶屋での大決闘!

「フギャー、ニャーゴ、チュウチュウチュウ!」イラスト(C)合間太郎

 昔から猫とねずみは仲が悪いことになっている。たいていは、猫がねずみをいたぶったり噛(か)んだりするのだが「窮鼠(きゅうそ)猫を噛む」という場合もある。昔は、ねずみのいる家で猫の鳴き声をまねるだけでも、屋根裏がピタリと静かになった。私の世代はそんなことを体験的に知っている。その頃は、屋根裏をねずみや蛇が走り回っていたのだ。

 さて昔、茨木市清水のあたりに通称「ねずみ茶屋」と呼ばれる茶屋があった。そこにやってきたのが無類の猫好きで、外に出るときも猫を箱に入れて持ち歩くという呉服商人。茶屋で一服して、猫も外に出してやろうと箱を開けようとすると、店の主人が慌てて「やめなさい。ここには猫を食べる大ねずみがいますから」と、商人の手を止めた。しかし、商人は「そんなあほな、猫がねずみにやられるなんて。もし、うちの猫がやられたら持ってきた反物、全部やるわ」と言って、飼い猫を外に出してやった。と、とたんに3匹の大ねずみが現れて猫にかじりつき、またたく間に殺してしまった。

 商人は約束どおり反物を置いて帰ったが、どうも悔しくて仕方がない。そこで大坂中を探し回って、ねずみを捕まえることにかけてはピカ一という大猫をつれて、もう一度茶屋にやってきた。すると、また3匹の大ねずみが現れたが、今度は猫の方が、簡単にねずみを食い殺してしまった。その後、仇(あだ)を討つかの勢いでねずみの大群が現れたが、それも大猫は難なくやっつけてしまったのだ。

 商人はしてやったりという顔で帰ったが、その後、茶屋はさびれて店はつぶれ、主人もいなくなってしまった。近くの人々は、ねずみの祟(たた)りとうわさしたという。

 ひょっとしたら茶屋の主人が、ねずみをあやつっていた大ボスかもしれませんね。

 (日本妖怪研究所所長)