岡力の「のぞき見雑記帳」

和幸堂製パン本店

2017年3月18日

サラリーマン時代の経験生かし

季節に応じて旬の食材も取り入れている

 大型商業施設や高層マンションが立ち並ぶJR吹田駅前。一本路地を入るとかつて北摂随一の歓楽街として栄えた通称「軍艦通り」がある。今なお、昔ながらの風情が漂う市街地の一角にあるお店が話題を呼んでいる。大正レトロをコンセプトにした「和幸堂製パン本店」には、今日も多くのお客さんが行列をなす。

 店舗を営むのは、西村隆さん(52)。茨木市に生まれ大学卒業後、パンとは無縁の住宅販売業に就く。仕事は順調だったが45歳を機に自分で起業しようと思い立ち独立。サラリーマン時代、一日も欠かさず昼食を共にした「パン」と第二の人生を歩むことにした。初めての開業に試行錯誤する毎日。北海道産の小麦粉を原料に添加物を使用しないこだわりの逸品が完成した。

 対面式のカウンター奥で製造を見せライブ感を演出。一日に何度も小出しで焼き上げていく。近隣に住む高齢者の事を考え柔らかく油っ気がないように心掛けている。

 「周囲の環境になじむようレトロなお店を企画しました。提案する商品で多くの人を喜ばせ夢を見てもらう。これは不動産もパンも同じです。これまで培った経験が現在の仕事に生かされています。以前は、総菜中心のパンを好んで食べていました。しかし作り手になってからは、素材の味が楽しめるシンプルなパンに目覚めました」と話す西村さん。

 昨年、社会を経験し家業を手伝うようになった息子さんが2号店を開業。近隣で親子仲むつまじく同スタイルのお店を展開している。ショーケースに陳列される素朴で温かみのあるラインアップ。「シンプル・イズ・ベスト」。素材にこだわる良質のパンは、この言葉に尽きる。

(コラムニスト)
 ■和幸堂製パン本店
 吹田市朝日町15の4、午前7時半〜完売次第、日、祝、第2・4月曜休み
 ■2号店
 吹田市泉町1の12の3、午前9時〜午後6時、土、日、祝休み