岡力の「のぞき見雑記帳」

錆び猫

2018年8月14日

独特の柄と性格で人気高まる

一二三さん宅の錆び猫「わさび」(満2歳)

 ここ数年、事務所の自転車置き場に住み着いている野良猫とたびたび目が合う。その都度、足を止め「なんやお前、そんな顔して」と話しかけるようにしている。理由は、子どもの頃に飼っていたメス猫と似ているからだ。警戒しているわけでもなく、愛嬌(あいきょう)があるわけでもない。ただ、じっとこちらを眺めているから妙な親近感が湧く。表情がわかりにくいのは柄のせいだ。黒と茶色のまだら模様でお世辞にも奇麗とは言えない。

 この雑種を愛猫家たちは、総称で「錆(さ)び猫(ねこ)」と呼んでいる。「雑巾猫(ぞうきんねこ)」と言うひどい別称も存在する。その独特の風貌から私の家にいた子もおやじから「タコ」と命名された。ちなみにタコは、女性であり猫である。

 しかし、錆び猫は飼ってみるとヤミツキになるかわいさがある。最近では、性格とこれまでネガティブな材料だった柄が面白いと話題になり人気が高まっている。三毛猫と同様、染色体の関係で大半がメスである。古くから日本にいて温厚で控えめ、奥ゆかしく、忠誠心もあり文句なしの性格だ。

 関西を拠点に活動する写真家の一二三泰正さんもそんな錆び猫ファンの一人である。「捨てられたメスの錆び猫を生後間もなくから飼っています。非常に頭がよく、表情や行動も豊か。飼い主の気持ちをよく察する感じがします」。

 ちなみに海外では、毛並みを「錆び」ではなく「べっ甲」とゴージャスに称している。ペットショップで販売されることはないが希少性は高い。これから猫をペットにお考えの方、スコティッシュ・フォールドやアメリカン・ショートヘアもいいが、街中や里親募集で「錆び猫」を見かけた時は検討してほしい。あたなにそっと寄り添い幸福を招くかもしれない。(コラムニスト)



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