2017年3月29日

アレルギー対応食 手軽に


米子の自然食レストラン「玄米カフェ 日々の糧」経営
細田 弘恵さん(51)=安来市=

 米子駅前のビルの2階に入る、24席の小さなレストラン「玄米カフェ 日々の糧」。植物性素材や発酵食品などの自然食にこだわったメニューで、女性を中心に人気を集めている。経営する細田弘恵さん(51)=安来市=はアレルギー児やベジタリアンの外国人向けの惣菜(そうざい)販売を始めるなど精力的に活動を広げている。

 アパレル会社に勤めていた細田さんは、フレンチレストラン部門に異動したのをきっかけにワインの魅力に取りつかれる。ソムリエの資格試験を受験するが失敗。一念発起し退職してフランスで2年半、ワインや食文化を学んだ。

 1999年に帰国し、米子市内のフレンチレストランに勤務。しかし、再び血が騒ぎ出し、「世界のワインセラーを巡る旅をしたい」と、アフリカや南米、ヨーロッパなど計27カ国を旅して回った。

■「日本食はすごい」こだわりの味と素材

 そしてたどりついたのは結局、「日本の食はすごい」ということ。オーガニックレストランの勤務などを経て、2008年に「日々の糧」を開店させた。

 食材は、実家の両親が作る米や無農薬野菜が中心。肉や魚は使用していないが、薄味な自然食のイメージとは違い「誰でも受け入れやすい味」にこだわる。妊婦やアレルギーのある人、病気療養中の人などに幅広く注目を集め、昨年にはパリの見本市に出展した。

■惣菜製造にも力 宿泊施設とも連携

 惣菜製造にも乗り出し、卵アレルギーに対応したオムライスや肉を使わない大豆ミートの唐揚げ、グルテンフリーの玄米ラーメンなど、独自のメニューを提案している。「スーパーで手軽にアレルギー対応の惣菜を買えるようになれば」と販路拡大を目指す。ホテルや旅館と連携して、宗教上の理由で肉や魚を食べられない外国人客にケータリングで対応する取り組みも始めた。

 オーガニックブームに乗って市内で開店した自然食レストランが、次々と店をたたむ様を見てきた。自然食は原材料が高価な上に手間もかかり、地方での経営は決して楽ではない。

 「素材へのこだわりは都会に比べると少ない一方で、小麦粉アレルギーの子どもが増加するなど、地方でもこういう店を必要とする人は絶対的に存在している」と細田さん。「そういう人がいる限り、ずっと続けていきたい」と決意している。

 ○…アレルギーの子どもを育てる親のサークルを取材した際、子どもの外食や食材にとても苦労しているという話を聞いた。アレルギー食材が少量混入しただけでも子どもの命にかかわるだけに、うっかりは許されない。

 細田さんの話を聞きながら、そんなお母さんたちを思い出した。安心して子どもを連れて行けるレストランが存在し、手軽に購入できる惣菜があれば、どれだけ彼女たちの力になるだろう。「地方でもこういう店は必要」という言葉が、心にストンと落ちた。(渡部ちぐみ)

 元気の源 25年ぶりに再会した娘

 25年前に離婚した細田さんには、2歳半で別れた娘がいる。25年間会ってなかった娘とフェイスブックでつながり、今年2月に店を訪ねてきてくれた。娘への思いを振り切るように働いていた一方で、「再会したときにかっこいいお母さんでいたい」という思いが原動力になってきた。

 これまで娘を思ってつらかった母の日に「生んでくれてありがとう」とメッセージをもらった。「これからは笑顔で母の日を迎えられそう」と、温かい母の顔を見せた。