2017年4月26日

母親目線で子育て応援


コモド保育園や支援施設を運営
一般社団法人地域サポートネットワークとっとり代表理事
山口 朝子さん(56)=鳥取市=

 「子育て中の親子が集える居場所づくりと、子どもを安心して預けられる保育サービスの提供。この二つを柱に、母親目線の“あったらいいな”を実現させたい」-。

 一般社団法人地域サポートネットワークとっとり代表理事の山口朝子さん(56)=鳥取市片原=は、鳥取市や本通商店街と連携して空き店舗を活用した小規模保育所や子育て支援施設の運営などに取り組んでいる。中心市街地に子どもの笑顔を呼び戻し、商店街の活性化にもつなげる挑戦が注目を集めている。

■3人の子育て経験 活動原点

 子育て支援施設「すぺーすComodo(コモド)」や商店街の空き店舗を活用した保育所「コモド第一保育園」などを運営する経営者でもあり、園長でもある山口さん。

 子育て中の親が気軽に集まれる場所を提供したいと、約20年前に子育てサークル「すくすくクラブ」を立ち上げ、2010年に一般社団法人化した。

 もともとは転勤族の夫を支える専業主婦。知り合いもいない土地で、幼い息子3人を育てた経験が活動の原点となった。

 「3歳になったばかりでやんちゃ盛りの長男と、生後4カ月の双子の息子。早産だった下の2人は虚弱で一歩も外に出られず、いつも我慢させている長男に週1回だけでも2人の時間をつくりたいと思っていました」

 当時住んでいた岡山県津山市では、地域のシルバー人材センターからベビーシッターの派遣を受けたり、親子サークルに参加するなど周囲にも支えられた。

 長男が小学校入学、下の双子が幼稚園入学の春、転勤で地元鳥取に帰郷。当時、鳥取には育児サークルがまだなかったため「それなら自分で作ろう」と、さざんか会館の1室を2時間ほど借り、親子サロンとして企画した。

■商店街に子どもの笑顔を

 当初は一人で始めたボランティアの子育て支援だったが、徐々に共感する仲間も増え、盤石な体制にするためにも活動母体を法人化。行政や民間団体と連携することで、さらに活動の幅が広がった。

 商店街の空き店舗を活用した子育て支援施設を開設し、「買い物する少しの時間だけ預かってほしい」などの声にも応えられるように30分単位の託児を実施。親子で参加できるヨガ教室なども企画し、商店街に子どもの笑顔を取り戻して市街地の活性化にもつなげる試みもスタート。また、待機児童解消のために、新たに市認可の小規模保育所の開所にも乗り出した。

■働くママ支えたい

 平日の午後。商店街の空き店舗を活用した保育所「コモド第一保育園」(同市末広温泉町、定員12人)では、0~2歳の異年齢の子どもたちが、しきりのないワンフロアで遊んでいた。笑い声がはじける室内では、園児一人一人に優しく声をかける山口さんの姿。「みんなかわいくて」と笑顔だ。

 子育てサークルを始めた頃、思いに賛同して手伝ってくれた仲間が今も助けてくれる。「女性の時代と言われるが、やはり結婚・妊娠・出産・子育てとブランクができる。働きたい女性のためにも、同じ“母親目線”でお手伝いしたい」。そう語る瞳には強い意志がこもっていた。

 ○…「子どもたちの遊び場や保育園を作りたいとずっと言葉にし続けてきたが、最初はだれも信じてくれなかった」と山口さん。だがイベントを開催すればたくさんの人が来てくれ、「やれると思った」とも。自分の好きなこと、思いが深いことは実現できると信じて突き進む人なんだろう。山口さんってどんな人? 職員からは「おもしろい」「びっくりさせられる」そんな言葉が返ってきた。離乳食の試食会などいろんなアイデアが浮かび、親のつぶやきから新たな構想が生まれることも。いつも大切にしているのは“母親目線”。一人の親としての気づきを保育に生かす。可能性も無限大だ。(高坂綾奈)

 元気の源 家族の笑顔と食べること

 元気の源は、支えてくれる家族の笑顔と食べること。休日には夫と一緒に出雲にそばを食べに行ったり、明石にたこ焼きを食べに行ったりする。食べることが大好きと言うだけあって、運営する保育園の給食の献立は、管理栄養士の資格を生かし自ら作成。子どもの体調や季節に合わせ、朝どれの無農薬野菜を使うなど、子どものことを考えたメニューは“親心”がこもっている。