2011年02月08日

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東京ではすでに「サクラサク」。平井県政の行く末は…=新宿御苑の寒桜
 東京に来てもうすぐ半年になる。手が空いたときにこのブログを書いているが、鳥取から「読んでいるよ」との電話をいただく。特に「平井ネタ」は食いつきがよく、メーリングリストにして回す経済人も。県庁からも「楽しませてもらっています」との声。
 かつて西尾知事が勇退する際、2人の官僚知事候補について「最後は愛郷心」と意中の候補を示唆したが、自分自身の愛郷心を感じた半年でもあった。神楽坂に「くらよし」という小料理屋があるが、とうふちくわをあてに地元ネタで盛り上がる。銀座に行けば旧赤碕の牛骨ラーメン。先日、省庁関係者と地酒の店に行ったが、旧東伯の辛口の酒があり、アピールの場となった。
 今年に入ってのあいさつは、山陰の大雪が枕ことばになるが、国道渋滞の際の沿線住民の差し入れなどの心温まる行動を知っており、うれしくなる。在京スポーツ紙に三朝温泉を舞台にした映画「恋谷橋」と出演女優が大きく扱われていて自慢になった。
 半面、東京から見る鳥取は希薄なようだ。もったいないなあ、損しているなあ、もう少しアピールしたらなあ、と感じることがある。かつて片山知事はキー局に旅番組などでもっと鳥取を題材にしてほしいと要望すると議会答弁したが、それぐらいでちょうどいい。東京育ちの平井知事がパフォーマンスするのもうなずける。久松山下の〝お山の大将〟ではなく、もっと打って出たい。
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 その平井知事の任期満了選挙まで、あと2カ月となった。自民、民主の相乗りでどんな選対になるのか要らぬ心配をするが、われわれマスコミはまず平井県政のこの4年間を検証しなくてはならない。ところが、片山知事の場合は1期目は負の遺産への対処と大物県議との確執、2期目は離れて行った支持者など、書くポイントがあった。ところが、平井知事の場合は切り口が難しい。いい面ばかりでは検証記事にはならないからだ。
 「よく頑張っている」というのが一般的な平井評だと思う。本人の資質もあるが、支持率もかなり高いと予想される。一方、初出馬時のマニフェストを判断材料にするなら、ある程度の方向性は示した、現在取り組んでいる最中という「ing」が多かろう。成果や結果が出るまでには至っていない。その場合、どう評価するかだ。ましてや平井知事の場合、経済や豊かさに主眼を置いている。経済は4年そこらで結果が出るものではなく、景気や経済動向など外部要因に左右される。
 平井知事のマニフェストは多岐にわたっていたが、民主党の09年マニフェストのような後々問題となるような争点はない。努力目標が多分にある。あえて指摘するなら、有効求人倍率を「1」に近づけるというのがあった。これはできていない。というか、働く場がない→人口が流出する→地域が疲弊する、という県の負のスパイラルは一向に解消されていない。優秀な片山、平井両知事をもってしてもだ。
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 以前から、気になっていることがある。かつてこのブログにも書いたが、平井県政が持つ「危うさ」だ。一体それがどこから来るのか。基本的に平井知事に対する批判はほとんど聞かない。県議会は共産党を除けばオール与党のようなもの、経済人、各種団体、市町村も応援団のようなものだ。挑発を繰り返し県議を立腹させていた片山知事とは好対照だ。
 官僚は自らが批判にさらされるのを嫌うが、優等生の平井知事は知らず知らずのうちにその術を身につけていたのかもしれない。ただ、多岐にわたる課題を抱え、対処も難しくなっている行政が、住民からの批判がないということがあるのだろうか。ベクトルとして考えても。この世界は私にはある種、異常なように映る。批判のない社会が発展するはずがない。
 そのためか、ストーンと腹に落ちないことがある。例えば環境大の公立化への動きについても、知事はまず大学自身の自助努力を求めていたはずだ。ところが、いつの間にか公立化の方向へとかじを切った。現状では展望が描けないなどの理由もあろうが、過去のいきさつを知る者からしたら、どうも納得できない。納税者へのもっと丁寧なアナウンスが必要であろう。県議会もチェック機関としての役目を果たしてくれるとは思うが、「平井に反旗では票が減る」など変なことは考えずに問題提起してほしい。最悪なのは、県民がよく分からないうちに決まってしまったというケースだ。
 リーダーは当然のことながら、結果や成果が求められる。知事はイベントが大好きだが、例えば和牛博覧会があった。大勢の来場者でにぎわい成功という総括だったが、わが鳥取県勢の成績が振るわなかった中で、和牛振興のためには頭数を増やしていく必要性などが命題となった。その後、増えているのだろうか。経営に足腰の強さが備わったか。一過性のイベントではなく、「実」が残っているか。
 私が感じる危うさは、どうも「ふわふわしたもの」に由来すると感じる。知事のソフトイメージだけならよいが、そこに実態が伴っているかだ。そのためにはマスコミも地域の課題を掘り起こして、知事にぶつける必要があろう。
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 その材料となるものはたくさんある。例えば県の基幹産業の農業について、民主党政権は戸別所得補償などの政策をとろうとしているが、いま鳥取県の農業の姿はどうなのか、所得や後継者問題など個別具体の課題、その中で行政として効果的な施策を打っているのか。私が耳にするのは「飯が食えない、借金が返せない」「どうやって子どもを大学に行かすか」など悲痛な声だ。
 福祉や介護の現場はどうか。平井県政になって、こういう肝心の課題がそ上に上らなくなった。県民に見えるのは、知事一人が奔走する姿。それは支持にもつながるが、その半面、この鳥取県の将来像が具体的に見えないし、つかめない。だから不安感がつきまとう。
 もちろん、環日本海時代や関西を視野に入れた動き、観光面でのさまざまな取り組みなど、実績として残る施策もある。ただ、知事にはいろんな面で、確かな手応えをつかめないというもどかしさもあると思う。私が1期目、一番「平井知事らしい」と感じたのは、裏金問題が噴出した時の素早い対応だった。県職員からは不満もあったが、過ちを真しに受け止め、改善への道筋をつけた。その姿勢に県民は拍手を送ったのではないか。
 知事に提言したい。どんどん批判してもらったらどうか。前述の農業問題を考えるなら、現場の農業者を交えてかんかんがくがくの議論をし、それをすべて見せる。県の取り組みの甘さを指摘されてもよい。その作業の中で、確かなことや取り組むべき課題が見つかるはずだ。それでこそ県民は納得もする。知事が上手にしゃべるいまの県議会の論戦を CATVで見ていて、納得する者はほとんどいないと思う。
 たぶん、仮に再選したら、知事のことだから引き続きそつなくこなすであろうし、失政もないと思うが、片山知事ではないが、2期目の終わりに県民がいまと同じ評価をしてくれるのか、この点は未知数だ。
 知事は副知事を辞めて総務省に帰るとき、本紙に「自治の都にささげて」という投稿をした。自治の都とは鳥取県のことだ。ただ、その都はきれいな世界だけではなく、住民の足元にはさまざまな難題が横たわっている。トップとしてその都に帰ってきたが、そこに手を突っ込んでほしい。不細工なことになるかもしれないし、手をかまれるかもしれないが、そのことが一部に聞く「もの足りなさ」を解消し、たくましい平井県政につながっていくと思っている。(鵜)

2011年02月01日

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神保町の古書街
 通勤する地下鉄の半蔵門線に神保町駅がある。ここ神田・神保町は古書街で知られ、170余りの古書店がある。小さな路地を入ると、落ち着いた喫茶店があり、くつろいだ雰囲気の中、本を読む人も。近くに大学があることもあり学生が多いのだが、文化人を気取った人やベレー帽をかぶった女性らも。ユニークな街でもある。
 本は集中的に読むタイプだ。1冊読んだ後、その関連本などを買って読んでいる。現在のマイブームは「政治本」や「小沢本」。国会などで本人を見ることから親近感も。なかでも、舞台裏を描いた暴露本的なものが好きで、引き込まれ一気に読んでしまう。
 永田町で話題の本といえば、元首相の海部俊樹氏が書いた『政治とカネ―海部俊樹回想録』(新潮新書)。帯には「この話、墓場まで持っていくのはやめた」とある。昨年11月20日の発行だが、重版で年末段階で6刷。海部氏といえばクリーンが売り物、首相退任後は自民党を離党したが再び自民党に帰るなどしたこともあり、政治家としての重みを感じなかったが、結構骨太である。河本派、三木派と弱小派閥にあって一国のトップに上り詰めた、そこには信念に基づいた行動があったようだ。キーワードはやはり、当時党内を仕切っていた小沢一郎幹事長との関係。有名な「みこしは軽くてパーなヤツがいい」は、本当に言ったのかと本人にただしたそうだ。3度の確執、ついには決別するのだが、「壊し屋とかかわるのはほとほと疲れる」と吐露。一昨年の政権交代選挙で初めて敗れ、政界を引退。青年海外協力隊の創設や文科大臣としての教育改革など、若き日の志は熱いものがあった。
 いま、民主党政権の1年半を検証する本が相次いで出版されている。混迷ぶりと政治の劣化を見せつけられたが、最近では内ゲバの様相を呈している。小沢グループと反・脱小沢派との対立の図式が生まれているが、そこに至る経緯を知るには『陰の総理・仙谷由人VS小沢一郎』(大下英治著、徳間文庫)が分かりやすい。大下氏の特徴の臨場感ある文体で、読んでいて面白い。興味深かったのは「陰の総理」と言われた仙谷氏の若きころ。東大在学中の学生運動、弁護士活動、社会党からの出馬など、これまでクローズアップされてこなかった部分がかつての同志らの声を交えて浮かび上がる。その後、権力の中枢にどのようにはい上がっていったのか、面倒見の良さなどイメージとは違った一面も。そして小沢氏との対立だ。党内で絶対的権力者だった小沢氏への対立軸を示した政治家としての腹の据わった部分、仙谷氏あっての菅政権だったことが分かる。出版延期、延期の末、ついに出た本で、問責決議での辞任からポスト菅をめぐる火花まで収めている。
 一方、この20数年間、日本の政治のど真ん中にいたのは小沢氏であったことは事実だ。「小沢的なもの」とは何なのか、小沢一郎研究の本も多々あるが、元共同通信編集局長で民放のキャスターを務めた後藤謙次氏の『小沢一郎 50の謎を解く』(文春新書)をお薦めしたい。後藤氏といえば番記者として竹下派(経政会)に食い込んだ人物。かつて野中広務元自民党幹事長の講演を聞いたが、後藤氏のことを「竹下邸の冷蔵庫の中身まで知っていた」と話していた。この本の特徴は、「数の論理」「猜疑心」「憎しみと愛」など5つのキーワード別に50の謎、例えば「辞任カード」のタイミング、「大連立くすぶる火種」、老人キラーの必殺技―などを挙げ、それに対して後藤氏が解説を加えている点だ。元記者だけあって、言葉の使い方のうまさに感心すると同時に、かつて身近にいた記者として、いまの小沢氏に説明責任などを呼び掛ける。最大派閥の田中派―竹下派、さらには小沢氏へとつながる系譜の中で、小沢氏の果たした役割、志向、強さと弱さが分かる。剛腕の光と影に迫った一冊で、残していたメモに基づく取材力にも驚かされる。
 その流れの中でいま、『田中角栄の昭和』(保阪正康著、朝日新書)を読んでいる。(鵜)

2011年01月25日

 ○…全国各地でタイガーマスク運動が起こっている。テレビ番組が放映されていたころは小学生、「虎の穴」が次々送り込む刺客に伊達直人ことタイガーがズタズタにやられながらも最後は勝利する。そのファイトマネーを名前も名乗らず孤児院の子どもたちのために寄付する。ハラハラドキドキと心にしみるあったかさ、大好きな漫画だった。
 タイガーに刺客を送り込んだのが虎の穴のミスターX。その声優が新宿ゴールデン街で小さな店を構えている。店内にはプロレスの初代タイガーマスクと握手している写真も。半面、「萌え」のにおいがする。声優さんやその卵たちの「たまり場」となっているようだ。
 自らもアニメの声優を務めるミスターXの奥さんと話していたのだが、鳥取県で来年開催される国際まんがサミットのことを全く知らない。そんなのあるの~の世界だ。ちょっとショック。「アキバ」好きの平井知事、もっとPRが必要なようです。

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とうふちくわは人気の的
 ○…「取材に行くだらあな」。本紙のOBから電話がかかってきた。東京ドームで開催された日本最大級の食の祭典「ふるさと祭り東京」。半ば強制的に取材に行かされた。会場の鳥取市のブースに行くと、別の本紙OBが「おう、来たか」。元記者だけによく分かっていて、概要資料を手渡すなど段取りがよい。
 ドームのグラウンドには、全国各地の名物や特産品、B級グルメの屋台が並ぶ。にぎわう写真が撮れるタイミングになるまで、「日本一周名物の旅」。だんご汁や特産牛のコロッケ、サバのくし刺しなどを味わう。逸品だけあって、うまい。
 鳥取市のブースに戻ると、「あ~、あった」と黄色い声が。女性2人組が大喜びで、とうふちくわを買っている。聞けば「あこがれていた」という。なんでも漫画にとうふちくわが出ていて、ぜひ食べてみたいと思っていたそうだ。とうふちくわは東京では珍しいが、「食いつき方」が違う。食のみやこ発信のヒントになると思うが。

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起死回生策はあるのか
 ○…通常国会が召集された。衆院本会議場には着物姿の女性議員も。風景が違うなと思ったら、ひな壇が寂しい。内閣改造で、「陰の総理」とも言われた仙谷官房長官の姿がない。尖閣沖漁船衝突事件の対応や横柄な態度で野党の批判を浴びたが、いい悪いは別にして、菅内閣は仙谷氏で持っていたようなものだ。
 菅首相が施政方針演説をした。野党からのやじの中、TPP「平成の開国」などを力強く訴える。昨年の臨時国会では覇気がなかったが、ことしになって両院議員総会、党大会のあいさつはハツラツしている。党大会では党所属の国会議員らに「自信を持ってほしい」と訴えた。が、党の迷走ぶりや支持率低下、統一地方選を前に自信が持てないのが実情では。
 菅首相の評価の中でよく、国家観がないと言われる。この国のリーダーとして、厳しい現状をどう乗り越え展望を開くか、国民にビジョンが見えないということだ。実際、予算委での棒読みとのらりくらり答弁にはがっかりさせられた。野党時代の舌鋒の鋭さはどこに。首相になってこれほど変わった政治家はない。
 来年度予算案と予算関連法案の年度内成立へ、今度こそリーダーシップを発揮できるか。野党協力や修正協議が整わない場合、3月危機説もささやかれる中、正念場を迎えている。

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読み応え十分です
 ○…都内の知人が「面白い本が出たよ」と言う。政治資金規正法違反での逮捕第1号となった元国会議員秘書が書いた本だ。タイトルは『実録 政治vs特捜検察―ある女性秘書の告白』(塩野谷晶著、文春新書)。著者はその後逮捕された〝オヤヂ〟の政策秘書になる前、県選出国会議員の事務所で勤務していた。
 取調室での検事との闘い、供述調書をめぐる攻防などが生々しく書かれ、一方で秘書の実態や事務所の問題点を明らかにしている。いま小沢民主党元代表の政治資金規正法にかかる問題がクローズアップされているだけに興味深い。
 著者は小沢氏の元秘書で東京地検特捜部に同法違反で逮捕された石川知裕衆院議員にインタビューしている。収支報告書について、著者、石川氏ともに第三者のチェック(監査)の必要性を説いているところに、根本的な問題を感じる。
 さらに、元東京地検特捜部副部長で弁護士の若狭勝氏にもインタビュー。大阪地検特捜部の不祥事に絡む厚労省元局長の冤罪事件があっただけに、検察のあるべき姿を語るインタビュー内容は考えさせられた。
 永田町の秘書の世界についても書かれており、面白い。ぜひ一読を。(鵜)
 
 

2011年01月21日

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大雪で傷んだ野菜を手に支援を訴える平井知事=東京・霞が関
 先日、東京に出張された竹内鳥取市長が「東京は暖かいでしょう」。豪雪に苦しむ鳥取県からすると太平洋側は恵まれていると感じるが、東京もここ数週間は寒く、風が冷たい。いわゆるビル風だ。基本的に寒がりでコートなしでは外を歩けない。東京では電車の中もそうだが、人が群れている。平井知事のようにインフルエンザをもらわないよう、帰ったらうがいの毎日だ。
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 その知事がマスクをして霞が関に現れた。衝撃だった。「危ない」と近寄らないようにしたが、そうも言っておれず、マフラーをマスク代わりに取材。今回の豪雪について、国に激甚災害の指定と財政支援を求める要望活動だった。
 ところがある官庁で、さらに衝撃的なことが起こった。通常、省庁取材は「頭撮り」となる。冒頭の部分のみ写真やテレビカメラの撮影が許され、その後は外に出て待機するのだが、その官庁ではわずか数分で追い出されるように外に出されてしまった。シャッターを数枚切っただけ。写真はまだいいが、困るのは映像だ。要望に来た人の顔すら満足に撮れない。ちょっと待ってくれだ。当然、報道陣からはブーイング。昔からこういう時は気分が高揚する。ただ大人になったのか、冷静に、皮肉もちょっぴり、胸に突き刺さるように。要はこれでは人に伝えられない、ということだ。
 私などまだいい、地元の実情も分かるし、フォローもできる。しかし在京の記者やカメラマンは、地元局の依頼を受けて取材に来ている。これではプロとして、応えるだけの仕事ができない。
 写真が使えないため仕方なく、知事がその後行く別の省庁で待機。ここは取材慣れしているのか、秘書官らもきちんとした対応だった。要望を受けた大臣は東北地方の出身。やはり大雪の大変さを知っている人は違う。
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 そもそも、頭撮りとは何なのか。記者はとりあえず写真を押さえ、外に出てきたところをつかまえて「ぶらさがり」で話を聞き、記事にする。しかし、実際にはその場で見たり聞いていたわけではない。往々にして片側(出てきた側、しゃべる側)の話が基になる。今回の場合は要望した知事側だ。しかし、受けた側がどんな回答をしたかはあくまでも伝聞となる。
 省庁取材の新参者の私は、頭撮りという取材スタイルが通例になった経緯などは分からないのだが、記者である以上、自分の目や耳で確かめたい、その場の空気の中で取材したいというのが本来だと思う。一方で省庁側の考えやまだ公にしたくない部分もあり、「折衷案」的にこの頭撮りスタイルができたのかな、とも想像する。
 ただ、中身によりけりだと思う。今回の場合、大雪で県民生活に大打撃が出ている、知事が上京しその深刻さを訴え支援を求める、たぶん受ける側も「可能な限りのことはやります」だと思う。記者がそのやり取りを聞いていて問題になるようなこととは思えない、むしろ、国はしっかり対応するとアピールすべきことだ。
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 記者になってから、行政の「非公開」には猛烈に反発した。知る権利を声高に叫ぶつもりもなかったし、オンブズでもないが、非公開にするようなものでないものまで当たり前のように隠す姿勢が理解できなかった。取材される側にも言い分があることは分かるが、具体的な作業部会に入ろうとも思わないし、仮に個人にかかわる話が出たとしても、そんなことは書くはずがない。後できちんと説明し、理解を求めればよい。
 その行政も、情報公開と説明責任を掲げた片山知事の出現で徐々に変わっていった。知事が言ったのは当たり前のことだが、それが新鮮に映るぐらいだった。県庁はその後、予算案など政策の立案過程もホームページで公開。片山効果で情報公開する姿勢は県議会や市に広がっていった。
 その片山知事がいいことを言った。「隠すとロクなことがない、謝ってしまえば楽だ」。不祥事が起きればを隠そうとするが、会見を開いてオープンにする。隠そうとするから、そのことが発覚した際にボロが出る。私の経験からも全くその通りだ。
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 かつてと比べると、行政も格段に情報公開に前向きになった。いまやネット社会、アピールしたり、発信することも行政の重要な要素となった。公開・非公開の在り方を考えるとき、大事なのはどこを向いて仕事をするか、だと思う。県民や国民はそのことを敏感に感じている。知事として霞が関改革を訴えた片山総務相には、おひざ元から新たな風を巻き起こしてほしいのだが。(鵜)

2011年01月13日

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吉本新喜劇の舞台に立った平井知事
 平井伸治知事がダウンした。直接の原因はインフルエンザのようだが、年末年始の雪害対策など過労も要因だろう。大阪の吉本新喜劇に出演し、とんぼ返りで再び雪害対策。正月も休む暇がなかった。というか就任以降、休日もイベントへの出席などでほとんど休みを取っていない。たぶん、体はくたくただと思う。なぜ、知事はここまで頑張れるのか。
 今だから言えるが、平井知事のダウンは就任後、2回目だ。1度目はブラジル出張から帰国後。十二指腸潰瘍を患い、体に黄疸ができた。知事日誌には内部協議とあったが、知事室を抜け出し中央病院で点滴を受けていた。そんな状態でも休まない。秘書が休日の催しへの出席キャンセルの話をしても、「もう少しで盆休みだから。そうしたら家族で過ごせる」と振り切って出て行った。就任から1年半後、初めて連休を取った。こんな知事はまずいない。 
 知事は若くして父親を亡くしたからか、健康にも気を配っている。酒もたばこもやらない。息子2人は県外に住んでおり、私邸に妻と二人きり。祝賀会に出席しても、帰ってから議会の議案資料に目を通すぐらい優等生だ。基本的にまじめ人間だ。
 東京の神田で生まれ、子どものころは秋葉原などで遊んだ。父は弁護士。頭がよく有名私学の開成中―開成高から現役で東大法学部に進学。卒業後は自治省に入り、米国のUCLAにも留学。片山前知事の下で全国最年少で副知事に就任した。絵に描いたようなエリート人生だ。半面、スポーツは大の苦手。おしゃれのセンスはない。好きな食べ物はオムライスとコーヒー牛乳という庶民派の面も持つ。
 知事を支援してきた経済人らは「官僚臭さがなかった」と話す。東京育ちのエリートだが、副知事時代から上から目線ではなく、謙虚。フランクに話せ、人の話をよく聞いてくれる。これまでの官、鳥取県庁にはいないタイプであった。講演に行ってもその後の懇親会で仲良くなる。必ず顔と名前を覚える。目線が同じで民間に近い感覚を持っている。これで一発でファンになる。ある面、人たらしだ。
 一方、庁内の評価は少し違っている。部下には強烈に厳しい。片山県政時代、職員は知事室に入るより、副知事室に入ることを恐れていた。では、なぜそこまで叱るのか。平井知事は県職員が民間や県民に対して横柄な態度をとることをものすごく嫌っていた。県民の目線で仕事をしない、基本が分かっていない職員は相手にしない。県職員の仕事が理解できていないということだ。
 ただ、職員には能力差もある。頭の回転が早い知事と違って、一つのことをやるにも時間がかかる職員もいる。全員が知事のように達者ではない。成果も出ない。職員の一部は、庁外の県民に見せる顔と庁内での対応の二面性に戸惑い、それが評価を分ける。
 しかし、知事には信念があるのだと思う。この鳥取県のトップとしての。それはどのように形成されたのか。
 面白いものである。優等生であれだけまじめな平井知事が大阪の吉本新喜劇の舞台に立ち、眉毛を太くし笑われる側を演じる。確かに「二面性」がある。パフォーマンスもやり、新聞やテレビに取り上げられることが好きだが、不得手なことをやっているように感じる。テレビカメラの前でラーメンを食べてみたり、県内企業が生産した商品を上手にほめてみたり。知事がここまでしないといけないのかとも思う。
 別の優等生の片山前知事なら絶対やらない。それをなぜできるのか。根底には、経済への踏み込んだ考え方がある。線引きをしていても始まらない、鳥取県を豊かにしたい。関西連携の中で大阪に売り込んだり、食のみやこをアピールしたり、県内の民間企業を元気にしたり、そのためには何でもする、私を上手に利用してもらったらよい、との考えだ。
 半面、今回の雪害対策で見せたように県民の生命と財産を守るためなら全力を挙げる。議会や各種団体とも良好な関係を築く中で政策的なことはきちっとやっていく。その点では片山前知事とも東国原前宮崎県知事とも橋下大阪府知事とも違う。平井流であり、この指とまれ、一緒になって鳥取県を良くしようやという考えが念頭にある。ただ、知事だけが走り回り今回のようにダウンしている。その点では肝心の県庁の総合力はまだ発揮できていないのだが。
 では、何が知事を突き動かすのか。これについては私見だが、初出馬時の自らの体験がベースにあると思う。自民党の候補になかなかならしてもらえなかった自分。順風満帆にきた人生だったが、その時に胸に突き刺さったものがあり、それを超えるため頑張る。当時、知事は「鳥取県に命をささげる」と言ったが、本心だったと思う。だから、病気をしても休もうとしない、休んでいられない。推測の域を出ないのだが、知事には将来、ぜひ本を書いてこの点を説明してもらいたい。知事経験者の地方自治の教科書のような本よりも、よほど読み応えがあろう。
 「熱が下がった」ということで平井知事は12日夜上京し、13日午前に激甚災害指定の要件緩和を各省庁に要望した。相変わらず休まない。(鵜)