« 因幡の縁結び | メイン | 成長 »

茗人賞、最後の「決め手」は?

 本紙主催の第30回茗人賞が決まりました。川柳の賞としては鳥取県内最高の賞で、大賞に選ばれた作品は県内最優秀作といえます。それだけに選者の間で激論が戦わされました。選考会にも立ち会ったのですが、決まらないのではないかと冷や汗ものでした。
 大賞は「母さんの笛静かなり夏終わる」。夏が終わった寂しさが伝わってくる秀作です。「声」でなく「笛」と表現した中七が秀逸で、これがあるために上五と下五が生きます。選考会では「夏終わる」でなく「秋きたる」でもいいのでは、との意見も出たのですが、これでは秋に向けて何かを期待するような前向きの感じになります。一つの季節が終わった、という実感を出すには、「夏終わる」の方がふさわしいでしょう。
 準賞の「勇気から逃げるでないと影が言う」。やるべきか、やらざるべきかと迷う一瞬の葛藤を表現して見事。「第三の男」のようなモノクロ映画の1シーンを思わせる作品です。
 同じく準賞の「老夫婦見るとじいちゃん思い出す」。この作者は90歳の女性です。亡くなったご主人を思い出したのでしょうか。川柳ならではの、ほのぼのとした作品ですが、長年付き添った伴侶を失った悲しさも感じられます。選考会では、「じいちゃん」ではなく「ばあちゃん」でもいいのでは、という意見もありました。主体を誰にするかで、句の印象がガラッと変わります。
 一つの句でも、十人十色の解釈ができるものです。こういう複雑さや広がりがないと秀句にはなりません。この広がりゆえに評価がさまざまに分かれるのでしょう。最後の決め手は「好み」でしょうか。(学)

コメントを投稿

(いままで、ここでコメントしたことがないときは、コメントを表示する前にこのブログのオーナーの承認が必要になることがあります。承認されるまではコメントは表示されません。そのときはしばらく待ってください。)