麦秋
昨日の本紙1面に「麦秋 おじぎ一色」の見出しで麦の刈り入れ作業の写真が掲載されたのを見て、小津安二郎監督の映画「麦秋」(1951年)を思い出しました。婚期の遅れた娘(原節子)がようやく結婚した後、一人家に残された父親(笠智衆)は喜びとともに一抹の孤独を感じます。ラスト近く、風になびく麦畑のシーンが印象的でした。
「麦秋」というタイトルは、戦前のアメリカ映画の巨匠、キング・ビダー監督の「麦秋」(1934年)に感動した小津監督が付けたようです。ビダー監督の「麦秋」は、農民が荒れ地の開拓に成功して麦の栽培に成功するまでを描いた作品です。原題の「アワ・デイリー・ブレッド」に「麦秋」という邦題を付けたセンスの良さが光ります。今なら、原題をカタカナ表記でそのまま使って公開するところでしょう。原題通りにしてしまえば、季節感や余韻などあったものではありません。
小津作品は「ばくしゅう」、ビダー作品は「むぎのあき」と読みます。一つの漢字でもいろんな意味や読み方があります。漢字は奥が深いですね。
本日の文化面「映画のチカラ」では、映画による文化交流の問題を扱っています。ただ見て楽しむだけではない映画の可能性。映画も奥が深いんです。(学)