原爆の記憶
「私は、ヒロシマを見た」 「いや、君は何も見ていない」―。
アラン・レネ監督の映画「二十四時間の情事」(1959年、日仏合作)での、フランス人女性と日本人男性との会話です。
一見、意味不明の禅問答のような会話なのですが、人間の記憶や存在のはかなさ、あいまいさを象徴させた台詞です。原爆による広島の惨状は、第三者に本当に理解されるのか。理解したと思い込んでいるだけなのではないか。「見た」という記憶さえも、時がたてば薄れ、失われるのではないか―。
本日の文化面「場に息づく思想―被爆者固有の記憶を未来に」を読んで、「二十四時間の情事」を思い出しました。さまざまな解釈が可能な深みのある、みずみずしい映像に魅了されます。ビデオかDVDを見つけたら、ぜひ見てほしい作品です。
ちなみに原題は「ヒロシマ、わが愛」というロマンチックなものでした。(学)