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謎の万代寺遺跡9

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 写真は、鳥取県八頭町福井の西ノ岡遺跡付近から見た猫山です。この辺りは、猫山が最も美しく見える場所です。
 西ノ岡遺跡からは9世紀の円面硯(えんめんけん。円形をした古代のすずり)が出土しています。古代には庶民で字を書ける人はほとんどいなかったので、円面硯が見つかった場所は、古代には役所があったとされます。
 万代寺遺跡発掘調査報告書によると、万代寺遺跡にあった八上郡衙は8世紀前半に築造され、9世紀前半に西ノ岡遺跡に移転した、としています。
 郡衙の最も重要な仕事は、税を集めて中央に送ることなので、交通の便が良い場所に置かれます。西ノ岡遺跡は近くを八東川が流れて千代川へとつながり、水運が発達していたでしょう。
 また古代の役所は、美しい形の山を背景にした風光明美な場所を選んで建設されます。因幡国庁跡(鳥取市国府町)の面影山や甑山、気多郡衙跡の上原遺跡(鳥取市気高町)の鷲峰山がその好例です。猫山が最もきれいに見られる福井一帯は、郡衙の建設地としてふさわしい条件を備えています。神秘的な山に、何かの祈りをこめたのでしょう。
 さらに福井の近くには「郡家(こおげ)」という地名があります。これは郡衙のことを意味する「郡家(ぐうけ)」の名残ではないでしょうか。
 あれほど大規模な八上郡衙がなぜ移転しなければならなかったのか。謎は深まるばかりです。(学)

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