「かたじけない」「これは異なことを」「お主も悪よのう」―。若者の間で「侍言葉」が静かに流行しているらしい。品格が感じられて、独特の言葉の響きと応用範囲の広さがウケているとか。最近は「KY」などの略語が注目されたばかりだが、若者の遊び感覚というか、感性というか、その言葉遊びの移り変わりの早さに驚かされる。
昨年刊行された「使ってみたい武士の日本語」という本も大ヒットし、現代語を侍言葉に変換してくれるサイト「もんじろう」(http://monjiro.net/)まである。
例文では【十三日、無職の女性が男に足を蹴られて軽傷を負う事件があった。調べによると、同市の市道で友人三人と遊んでいた女性に、男がいきなり「下着がほしい」と首つかみ、女性が「やめてください」と言うと、男は逆上して足を蹴ったという。】という現代文が、
【十参日、流浪の女人(にょにん)が男に足を蹴られて軽傷を負う由々しき事態があったでござる。調べしからば、同村の村道で朋輩参人と遊んでゐた女人に、男が行き成り「襦袢(じゅばん)がほしゐ」と首つかみ、女人が「やめて願いたもうぞ」と申すと、男は逆上して足を蹴ったと申す。】となる。
また【この前はすみませんでした。すぐにカッとなるのは僕の悪いところです。わかっているのに直せない自分が、情けないです。あのようなことをしてしまった以上、最後にもう一度、心から謝罪します。申し訳なかった。】が、
【先刻はかたじけのうござった。早々にかっとなるのはそれがしの悪ゐところでござる。わかっておるのに直せぬ己が、ああ、情けないでござる。斯様なことをしてしもうた以上、最後に今一度、懐から平伏します。責任を取って切腹いたす。】
このサイト、ほかにも沖縄弁、大阪弁、宮崎弁などの方言や、人気タレント風味の言葉、死語などにも変換できるが、武士語が一番人気を集めている。
仕事柄、言葉の使い方や、はやり、廃りに興味をそそられる。
しからば、これにて御免。(周)