ゲリラ雷雨と川
『大地の川』(草思社、関正和著)という本を読んで、感激した覚えがあります。再びひもとくと1994年刊ですから、もう14年も前です。建設省(当時)勤務の筆者は「多自然型の川づくり」を唱え、自然豊かな川の再生を主張していました。その当時、行政に頼るのではなく住民自らが住む地域を活性化しようという「まちづくり」のムーブメントが全国で盛り上がっており、昔ながらの川を取り戻す「多自然型の川づくり」はまちづくりの一環として注目を集めました。それまでの川づくりは国民の生命・財産を守るという観点から、コンクリートで固めるものでした。しかも、河川の氾濫で犠牲者を出したくないという強い思いに基づき、猛スピードで実施されました。その結果、台風が上陸しても、犠牲者の数は減りましたが、日本の川は味気ないものになったのです。川と人の間には互いを拒絶するようにコンクリートや堤防がそびえました。『大地の川』はそうした猛スピードでの整備が一息ついた節目に上梓されたのです。
その後、この本に書かれたように川と人は再びふれあうようになりました。「親水」です。しかし、近年のゲリラ的雷雨は近づいた川と人の間を再び引き離そうとしています。神戸では子供たちが犠牲になる不幸な災害が発生しました。鳥取県内でも親水公園をチェックするそうです。とはいえ、せっかく歩み始めた道を引き返すのはどうでしょうか。著者の関さんは病魔に冒され、この本を遺書のように書いたそうです。そして、彼はなくなりました。近年、頻発するゲリラ的雷雨の被害。関さんの遺志を受け継いでわれわれも新たな川のあり方を考える時が来ているのです。(理)