ヒロシマナガサキ
東京に勤務していたちょうど一年前、日系三世の映画監督スティーブン・オカザキ氏のドキュメンタリー作品『ヒロシマナガサキ』を見ました。広島、長崎の被爆者14人が、原爆が投下された日の惨状とその後の歩みを証言します。
筆者が「広島―原爆」を認識したのは、小学生のころに読んだ中沢啓治さんの漫画『はだしのゲン』でした。核兵器の恐ろしさが強烈に刻み込まれ、ページをめくりながら子ども心に強い憤りを感じたものです。それは今でも、自分の中のどこかに生きているような気がします。
原爆で父、姉、弟を亡くした中沢さんも14人の証言者の一人として映画に登場します。「玄関の敷居に挟まれた弟の『お母ちゃん、熱いよー熱いよー』という声がもろに聞こえてくる。お母ちゃんも『みんなと一緒に死ぬ』と言ってね…」
映画は冒頭、原宿で戯れる若者へのインタビューで始まります。「8月6日を知っているか」との問い掛けに、まったく分からない少女たち。
映画館には年配者が多かったのですが、小さな子どもを連れた若い夫婦の姿を何組か見ました。子どもたちが記憶に宿したものはきっと大きかったでしょう。
「あの日」を二度と繰り返さないために、どんな形であれ、「あの日」のことを知っておくことの大切さを思います。(圭)