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知事、議場で童謡を歌う

090319tiji.jpg 「海は広いな大きいな 行ってみたいなよその国」―。18日の鳥取県議会本会議で、平井伸治知事が童謡を歌いました。記者になって以来、議場で歌を聞くのは初めて。知事はなぜ、文部省唱歌の「海」を歌ったのでしょう。それには伏線が…。
 この日は一般質問。登壇したのは共産党の市谷知子議員(鳥取市選出)。かつて国政選挙にも立候補されたことがありますから、ご存知の方も多いでしょう。
 市谷議員は自ら耳にした派遣労働者の雇い止めの現状と難病の小規模作業所の支援に関して質問。1回目の知事答弁はあっさり終わりました。部長が「事実関係に矛盾があるのではないか」と指摘した以外は。
 これに対し、市谷議員は追及質問で「知事に派遣労働についてどう思うかと聞いたが明確な答弁はなかった」「作業所についても知事に答えてほしかった」とジャブ。ここから雲行きが怪しくなりました。
 市谷議員が派遣に関して「県庁内」を指摘したことに対し、平井知事は「いかにも県が派遣労働者を使って不適切であるようなコメントは違和感がある」「レトリック(巧妙な言いまわし)でごまかして人を攻撃的に言うのはいかがなものか」、また民間企業に関して「このような働き方をさせる会社というような表現は一方的ではないか」、派遣法に関しても「わざと誤解を招くような言い方をされるわけですが」と応酬。
 今議会の質問の中で「相手を立てて、ノーと言えない知事」というのがありましたが、ノーを飛び越しています。議会記者室を飛び出して、議場に向かいました。
 が、市谷議員も引っ込まない。「自分も(派遣法を)改正する気があるのなら、最初からそう言ってもらえればよかった。きちんと目を向けてほしい。そんなふざけた話ではない。知事は派遣法を分かっていない」とやった。さらに、知事が心血を注ぐ環日本海定期貨客船についても「運航支援をやめるべきだ。知事は夢の航路と言われるが、いま雨風をしのげない人もいる。そういう状況で貨客船支援はおかしい。それより無料で困っている人が入れる避難所を作るべき。鳥取県の将来の夢、企業が来るといわれるが、税金をつぎ込んでどうだったか。竹内工業団地や崎津団地は売れ残っている。知事は夢が失敗したら逃げれるかもしれないが、県民は逃げられない。本当に支援するなら外国の貨客船ではなく、鳥取県の漁船にしてほしい」。
 一気にまくし立てた、といった感じ。個人的には、市谷議員といえば最初に国政選挙に出られた当時の印象が強かったので、ちょっと驚きました。帰社後、インターネットの録画放送で確認すると、このころから周りの自民党議員の表情がこわばってきます。その時です。「ふざけた答弁とは何だ」との大きな声が議場に響きました。自民党の前田宏議員(自由民主)です。元議長で「鳥取県議会の姿」に誇りを持っている人物。こういう場面で声を張り上げるのは、前田議員しかありません。前田議員は上村忠史副議長に注意するよう求め、副議長が「今後は考えて発言してください」。
 張り詰めた空気の中、再び登壇した知事も頭に血が上っているよう。雇用問題についても県は最優先課題として取り組んでいることを指摘し、市谷議員に「これまで1、2月議会で何を聞いていたのかと思う」「私の説明が悪いのか、議員が理解されようとしないのか」と皮肉。さらに市谷議員が議場で示した境港の貿易額と県内企業倒産、有効求人倍率のグラフに対しても「面白い資料を出されるな、と思った。出すならもっと前(の年度)まで出すべき。有効求人倍率と貿易額に相関関係はない。トリッキーだ」とこき下ろし、「いかにも無駄遣いで外需に頼っている、それが有効求人倍率を下げるというのは議論のすり替え。夢の航路にお金を使うなら…も議論のすり替え。内需が必要というなら(県の経済雇用対策の)予算350億円は何なのか。将来的なことを考え、子どもたちの夢のためにやろうとしている」とピシャリ、そしてあの「海は広いな…」を歌いました。定期貨客船実現への強い決意です。
 これがよかったのか、自民党議員の表情に笑顔が。知事は「私だけの夢ではない。多くの人の共有の夢であり、私たちは地域の未来を考える必要がある」と締めくくり、市谷議員は「歌っている場合ではない。県民の人は本当に大変なんです」と最後まで持論を主張していました。
 久しぶりに熱い論戦を聞きました。終わったあと職員からも「互いにヒートアップしていましたね」「知事もああ見えてきついからな」との声が。そこで、別の所で聞いていた同僚記者に電話すると「(あの二人のバトルは)いつものことですわ」とさめた見方。「平井VS○○」の第2段だと思ったのだが。私としては、これは記録に残したいと思い、ブログに書いた次第です。(鵜)

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