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鉄道ファン

 大学3年の春、ゼミに入りましたが、誰も知り合いはいません。歓迎会でぽつねんとしていると、1人の先輩が話しかけてきました。「君の出身は」「鳥取県の米子市です」。するとその先輩は米子駅周辺の駅名を並べ始めたのです。米子、伯耆大山、淀江、大山口、名和、御来屋…。思わず手をたたいて「すごいですね」。先輩は誇らしげに言いました。「全国の駅名を覚えているんだ」。もうお分かりでしょう、この先輩は鉄道ファンだったのです。夢は「全国の鉄道駅を鈍行列車で走破すること」。鉄道ファンではなかったので夢は共有しませんでしたが、なぜかうまが合い、親しく付き合うようになりました。
 その年の夏休み、ゼミ合宿で岡山、広島を一緒に旅したときのことです。合宿の最終日、先輩は朝早く起きて友人と午前中いなくなりました。どこへ行ったかなあ…と思っていると、昼ごろひょっこり。「どうしたのですか」「ついに、呉線に乗った」。全国制覇に励んでいたのでした。念願を果たし、満足そうな笑顔です。帰路の電車では、一緒に行った鉄道ファンの友人と呉線の感想を話し合っていました。
 その先輩の姿を見たのはそれが最後でした。ゼミ合宿後、実家がある滋賀県に帰郷。琵琶湖で遊泳中におぼれ、帰らぬ人となったのでした。訃報を知ったのは、夏休みが終わってからでした。
 いまは「鉄、てつ、テツ」などと呼ばれていますが、鉄道ファンという言葉を聞くと、呉線を制覇した時の先輩の笑顔を思い出し、じーんとなります。日本海新聞の会員制組織「日本海クラブうさみみ」HP内に、鉄道ブログが誕生しました。日本海新聞の鉄道ファンが熱い思いを語っています。先輩が生きていたなら連載してもらうのに、と思いました。皆さんも読んでみてください。アドレスはhttp://www.nnn.co.jp/mt/usatetsu/(理)

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