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長男の嫁

 最近、地方の観光振興や都市間交流を語る上で欠かせないのが「ホスピタリティー」なるものです。もっと具体的に書けば、都会の人たちは癒やしを求めて地方に来るので、地方の人々は精いっぱいもてなさなければならない―といった理屈です。もてなしがビジネスになる人たちはいいのですが、それ以外の人たちにも無理強いをする論調があるのは疑問です。ちょうど、盆と正月に一族が帰ってくる長男に嫁いだ奥さんのようなものです。もてなされる帰省組は「やっぱり、田舎はいい」と満喫しますが、もてなす側のお嫁さんをはじめ長男一家はどこで癒やしたらいいのでしょうか。まだ盆と正月だから辛抱できるかもしれませんが、毎週末に「ホスピタリティー」などと叫ばれてもたまったものではありません。地方の人たちが無理をしてつくりだした癒やし、非日常の虚構でつくり出した観光空間はいつか消えます。
 こうした持続不可能な長男の嫁的観光ホスピタリティーではなく、生活観光とでもいうのか、普通の営みの中で都市間交流や観光振興が図れないものでしょうか。
 そのきっかけは「B級グルメブーム」に潜んでいると考えます。いままで都会からお客さんが来ると忘年会以外は食べたことも泊まったこともない温泉旅館で接待し、「ここの料理は最高だから」なんてうそぶいた経験はありませんか。それよりも普段から親しんでいる市井の「うまいもの」いわゆるB級グルメで本当のおもてなしをするのが筋だと思います。
 そんな意味で、B級グルメブームは地方の観光振興に新たな展開をもたらしてくれると思うのです。(閑)

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